ティラノサウルスを超える超巨大肉食恐竜「スピノサウルス」。映画にも登場し人気高騰中のスピノサウルスですが、近年の研究で新たな姿が明らかになっています。
今回はスピノサウルスの大きさや帆の秘密、予想に反した陸上での姿などをご紹介します。
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目次
スピノサウルス
①スピノサウルスとは?
スピノサウルスは今から約1億1200万~9,700万年前の白亜紀に生息していた大型の肉食恐竜です。ティラノサウルスを凌ぐ巨体を持っていたことから最強の恐竜として名前が上がることもあり、恐竜ファンの中でも特に人気の高い恐竜です。ワニのように細長い顎と特徴的な帆を背中に持っており、当時の地球の生態系の頂点に位置している生物だったと考えられています。
画像:Durbed
②スピノサウルスの名前の由来は?
スピノサウルスの名前には「棘のあるトカゲ」という意味があります。スピノサウルスは背中に特徴的な帆を持っており、それを支えるために背骨からは棘状の骨が何本も突き出していました。他の恐竜に見られない不思議な棘がスピノサウルスの名前の由来になったんですね。
画像:MasPix
③スピノサウルスの大きさは?
スピノサウルスの平均的な個体の体長はおよそ15~17メートルほどだったと考えられています。代表的な大型肉食恐竜ティラノサウルスの体長が11~13メートルほどですからスピノサウルスがいかに巨大な恐竜だったかがわかります。
体重に関しては諸説ありますが、水辺での生息が有力視されていることから、水の浮力を利用して20トン近くまで成長した可能性があるといわれています。これが事実だった場合はティラノサウルの3~4倍の重さになり、最大級の肉食恐竜の名に恥じない巨体だったことがわかります。
④スピノサウルスの帆は何のため?
スピノサウルスの背中には高さ1.8メートルにもなる扇型の帆が存在しています。この帆は棘状の骨に薄い皮膚の膜が張られて形成されたもので、当時の温暖な気候と巨体から発生する体温を外気にさらすことで調節する役割がありました。
スピノサウルスが生息していた白亜紀のアメリカ大陸は現在よりも気温が高く、巨大な体を維持するためにはこのような帆が効果的だったのです。しかし、巨大な帆が背骨と連結してしまっていたため胴体の動きが制限され、帆を持たない他の恐竜よりも運動能力は低かったのではないかと考えられています。
⑤スピノサウルスは何を食べていた?
発見された化石からスピノサウルスの頭部は細長くワニのような形状をしていたことがわかっています。そのためスピノサウルスはワニなどの水棲生物と同様に魚を主な獲物としていたとされています。また、歯の構造もワニのように魚を捕食するのに特化した形状をしていました。
画像:Alexanderlovegrove LOVEGROVE
しかし、化石の胃袋の位置から捕食されたものとみられる草食恐竜イグアナドンの化石も見つかっており、現生のワニと同じく機会があれば草食恐竜なども捕らえて食べていたのではないかといわれています。
⑥スピノサウルスは水辺に生息していた?
スピノサウルスの頭部は魚食に特化した構造になっているため生息域もワニと同じように水辺だった考えられています。近年の研究でスピノサウルスの鼻孔には細かい穴が無数に存在していたことがわかっており、これらは水中で獲物を探すときにセンサーの役割を果たしていました。
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このことからスピノサウルスは深い川の奥深くまで潜って魚を捕食していた可能性が出てきました。そのため、スピノサウルスの復元図も新しくなるにしたがって水中での動きに適したシャープな体形と短い手足で描かれるようになってきています。
⑦スピノサウルスはどのように発見された?
スピノサウルスは1915年にエジプトで古生物学者エルンスト・シュトローマーによって初めてその化石を発見しました。その後、化石はドイツのミュンヘンにある博物館で保存されていましたが、第二次世界大戦の爆撃によって消失してしまいます。
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そのためスピノサウルは近年になって再発見されるまで研究のほとんど進んでいない謎の恐竜とされてきました。しかし、発見される化石はどれも断片的で最初にシュトローマーが発見した化石ほど状態が良いものは中々発見されていません。そのため、現在でもスピノサウルには多くの謎が残されています。
⑧スピノサウルスは四足歩行だった?
大型の肉食恐竜として後肢の二足歩行で復元されるスピノサウルスですが、最近の研究で陸上では四足歩行をしていたのではないかといわれるようになりました。水中で魚を捕食していたスピノサウルスは体の造りが水中に適応し過ぎたため、陸上の大型肉食恐竜に比べて上半身の体重が重くなってしまいました。
画像:tonymuyo
そのため、水の浮力がない陸地では後肢だけで体重を支えることができず、四足歩行の形をとっていたと考えられるようになったのです。しかし、四足歩行では陸上で機敏な動きをすることは不可能なため、水から出てしまえば映画などで描かれるような強力な捕食者ではなかったということになります。
⑨スピノサウルスの子育て
水中を主な生息域としていたスピノサウルスですが、現生するワニなどの水棲爬虫類と同じように卵は陸上で産んでいたと考えられています。そのため、スピノサウルスの巣は陸上に作られ子育てもそこでおこなわれました。
画像:GaffaMondo
水中でうまく泳ぐことのできないスピノサウルスの幼体は他の水棲肉食恐竜や大型肉食魚の格好の餌食だったからです。陸に巣を作り水中で獲物を捕らえるスピノサウルスは、陸上から水中へ生物が適応していった過程がわかる貴重な例だといわれています。
⑩スピノサウルスの化石は買えるのか?
体全体の化石が中々発見されないスピノサウルスですが、発見されやすい歯の化石は日本でも通販などで購入することができます。その価格は大きさや保存状態によってまちまちですが、6万~25万円ほどで取引されているようです。
画像:Mike Bowler
最近ではその巨大さからティラノサウルなどと比べられ人気高騰中のスピノサウルス。化石の価格もティラノサウルに近いようでね。
⑪スピノサウルスは最強の恐竜か?
ティラノサウルなど他の大型肉食恐竜を超える巨体を持つスピノサウルスは、最強の恐竜を語る上で必ず候補に名前が上がります。しかし、これらの恐竜を比べてどの恐竜が最強と決めることは簡単ではありません。彼らは違った時代、違った場所に生息していたからです。
しかし、発見された中でも最大級の巨体を持つスピノサウルスは間違いなく最強の恐竜の1種に数えられると思います。最強恐竜の候補たちやその能力、戦う場所を加味した最強の恐竜については関連記事にまとめています。
出典:wikipedia
画像:dinosaur-species
いかがでしたか?ティラノサウルスを超える巨体を持つ超大型肉食恐竜スピノサウルスについてご紹介しました。今後の研究でスピノサウルスの実態がさらに明らかになることを心待ちにしましょう。