ピラミッドに並んで有名なエジプトのスフィンクス。観光客にも人気が高く、そのたたずまいは畏敬の念さえ感じさせます。
今回はスフィンクスの謎と文明各地に残る伝説についてご紹介します。
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目次
スフィンクス
スフィンクスとは
スフィンクスとは、ライオンの体と人間の顔を持つ神話に登場するモンスターです。エジプトやギリシア、メソポタミアなどの神話に登場しています。その多くは猛獣の合成生物の姿で描かれており、語り継がれる地方、文明によって扱いに差があります。エジプトでは王家の象徴として神格化され、ピラミッドと並んで彫像が造られています。ギリシアやメソポタミアでは恐ろしい怪物としての伝説が残っています。
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エジプトのスフィンクス
古代エジプトのスフィンクスはファラオ(王)の顔とライオンの体を持つ神聖な存在とされていました。敵を打ち滅ぼし王家や神々を守護すると考えられており、死後に神格化したファラオと猛獣の王ライオンを組み合わせて生み出された伝説だといわれています。エジプトのスフィンクスは他にも猛獣や鳥の顔を持つものや、男性以外にも女性の顔を持つものも存在しています。また、後述するギザの大スフィンクスは世界的に有名です。
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ギリシアのスフィンクス
古代ギリシアで語られるスフィンクスはライオンの体に美女の顔、乳房のある胸部に鷲の翼を持つモンスターです。ヘビの頭の尾も持っており、猛獣の合成生物のような姿で描かれることが多いようです。謎解きやゲームを仕掛けてくるとされており、子供をさらう恐ろしい怪物とされていました。また、戦争においては人々の死を見守る死神のような存在ともいわれています。
ギリシア神話では、旅人に「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足。これは何か」という謎かけし、間違った者を食べてしまうスフィンクスが語られています。しかし、神話の登場人物であるオイディプスが「人間は赤ん坊の時はハイハイで四つ足、成長して二足、老年で杖をつくから三足だ」と正解を答えると海に身を投げて自殺してしまったとされています。
メソポタミアのスフィンクス
メソポタミアのスフィンクスもギリシアと同じくライオンの体に女性の顔、鷲の翼を持つとされています。戦争において死を見守るという点でも共通しておりギリシアのスフィンクスと酷似していますが、これらの伝承はもともとメソポタミアが起源だといわれています。
ギリシアとメソポタミアのスフィンクスはエジプトのものとは違い恐ろしい怪物であるとされています。
出典:wikipedia
ギザの大スフィンクス
ギザの大スフィンクスとは、エジプトの都市ギザ(ギーザ)にある巨大なスフィンクスの石像です。全長73m、高さは20mもあり、一枚岩で造られた彫刻の中では世界最大の大きさを誇ります。しかし、頭部は他の場所で掘られた後に胴体と組み合わせたことがわかっています。ギザの大スフィンクスはその巨大さと美しい造形から観光の人気スポットとしても知られています。
出典:wikipedia,pyramid of Khafre
スフィンクスの謎
スフィンクスには多くの謎が存在するといわれています。ここではギザの大スフィンクスについて語られることが多い謎を現在の定説も交えてご紹介します。
①スフィンクスは誰が造ったのか?
ギザの大スフィンクスは一体誰が造ったのでしょうか?現在では紀元前2613年頃~紀元前2494年頃に栄えたエジプト古王国第4王朝のファラオであるカフラー王が建設の命令を出したといわれています。
カフラーは有名なクフ王の息子であり後継者だった人物だと考えられており、およそ25年に渡って王朝を支配しました。ちなみにカフラーという名前には「エジプト神話の太陽神ラーのように現れる」という意味があるのだそうです。世界一有名なファラオ「ツタンカーメン」については関連記事で詳しくまとめています。
関連記事:ツタンカーメンの呪いと死因!幼きファラオは何を見たのか?
②スフィンクスはいつ造られたのか?
ギザの大スフィンクスはいつ頃造られたのでしょうか?現在では第4王朝のファラオであるカフラーがスフィンクス建設の命を出したとされていることから、紀元前2500年頃に造られたのではないかと考えられています。
スフィンクスの顔はカフラーに似せて作られており、彼の墓地であるギザのピラミッドの一部として設計されています。ピラミッドについては関連記事で詳しくまとめています。
関連記事:あなたの知らないピラミッド!作り方の謎や宇宙人との関係
③スフィンクスはどうやって造られたか?
巨大なギザの大スフィンクスは一体どのようにして造られたのでしょうか?スフィンクスはピラミッドのように巨大な岩を組み合わせたものではありません。大きな岩をハンマーなどで砕き削っていくことで造られた彫刻になります。ギザの大スフィンクスは一枚岩を使ってデザインされた彫刻ですが顔の部分だけは別の場所で造られ、その後胴体の上に固定されたと考えられています。
④スフィンクスは何故造られたのか?
ギザの大スフィンクスはどのような理由があって造られたのでしょうか?これには諸説ありますが、一般的には王族の絶対的な権力の象徴として建設したという説が定説です。ファラオの墓場であるピラミッドは非常に多くの人間が非常に長い時間をかけなければ完成させることができません。それだけの労力をかけて造られる墓地に埋葬されることは王族にとって自身の権力を象徴していました。
また、非常に巨大な建設物にすることで遠く離れた人々にもファラオの権力を示すことができました。ギザの大スフィンクスもピラミッドと同じ理由で建設されたとされています。また、ファラオの顔を神格化されているスフィンクスに残すことで自身も神格化させるという宗教的な理由も存在したと考えられています。同じく宗教と権威の象徴ミイラについては関連記事で詳しくまとめています。
いかがでしたか?エジプトに残された遺産スフィンクスについてご紹介しました。今から4500年以上前に造られたとは思えないほど巨大で神秘的な彫刻ですね。