巨大なのに水に浮く?不思議で奇妙な土星の真実18

土星


地球と同じ太陽系に存在する惑星「土星」。土星の魅力はそのユニークな輪だけではありません。
今回は土星の環境や特徴的な輪、地球外生命体が存在するといわれている衛星などをご紹介します。

 
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土星

①土星とは

土星は地球と同じ太陽系に存在する惑星のひとつです。英名の「Saturn(サターン)」はローマ神話に登場する農耕神サートゥルヌスから付けられました。土星は特徴的な輪(正しくは環)を持っていることから一般的にもよく知られており、他惑星の中でも比較的人気の高い天体です。

土星とは
画像:NASA

 

②土星はガスでできている

土星は形成されている主成分が水素やヘリウムなどのガスであるため巨大なガス惑星である「木星型惑星」に分類されています。しかし、すべてがガスで構成されている木星とは違い土星の中心部には個体の核が存在しています。土星は中心部に近づくにつれ温度や圧力が増していきます。これによって土星の主成分である水素は中心部では高密度となり、金属のような個体に変化します。

土星はガスでできている
画像:Kelvinsong

 

③土星の大きさ

土星の直径はおよそ12万キロメートルあり、太陽系の中では木星の次に巨大な惑星になります。これは地球の約9倍に匹敵する大きさです。しかし、ガス惑星である土星は密度が極端に小さいため巨大な体積を持ちながら質量は地球の95倍程度にとどまっています。それでも十分に巨大な惑星ですね。

土星の大きさ
画像:NASA

太陽系最小の惑星である水星と最大の惑星である木星については関連記事でまとめています。

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④土星は水に浮く

太陽系で2番目の大きさを持つ巨大な土星ですが、その密度は平均して地球の1/9程度しかありません。また、太陽系で唯一水よりも平均密度が軽いため、信じられないことに土星は水に浮かんでしまいます。水に浮くような物体がそれほどの巨大さで存在しているとは宇宙は本当に不思議ですね。

土星は水に浮く
画像:pixabay

 

⑤土星の位置

土星は太陽から数えて6番目の公転軌道に位置しています。地球からは3つ外側を周回しており、太陽系の惑星や準惑星の中では比較的真ん中の位置になります。

土星の位置
画像:pixabay

 

⑥土星までの距離

土星は地球から平均で約15億キロメートル離れており、最も接近するタイミングでもふたつの距離は13億キロメートルにもなります。これは光の速さでも70分ほどなければ到達できない距離になります。

土星までの距離
画像:pixabay

1979年にパイオニア11号が土星に接近した際には打ち上げから2339日が経過していました。また、スペースシャトルであれば4年と11ヶ月もあれば土星に到達することが可能な計算になります。

 

⑦土星の重力

土星の重力は10.44 m/s²のため、地球の重力と比べてもそれほど大きな差はありません。土星はガス惑星であるため着陸することは困難ですが、仮に地表に降り立てるとするならば宇宙飛行士は地球とほとんど変わらない重力で快適に過ごすことができるでしょう。

土星の重力
画像:NASA

土星は地球と全く異なる環境でありながら地球に最も近い重力を持つ惑星のひとつといわれています。地球に近い重力を持つ惑星には他にも海王星があります。過酷すぎる惑星環境を持つ金星については関連記事でまとめています。

関連記事:超高温度に異常な気圧!過酷すぎる金星の真実

 

⑧土星の一日と一年の長さ

土星は高速で自転しているため、その一日は地球時間での10時間39分しかありません。これに対して公転周期は長く、一年はおよそ29年と3ヵ月もかかります。

土星の一日と一年の長さ
画像:NASA

 

⑨土星の温度

太陽から遠く離れている土星の表面温度は平均で-185℃ほどしかありません。これに対し、土星で生成される雲の内部では非常に強い圧力が発生しており、圧力が高まるにつれて温度も高くなっていきます。圧力の高い雲下層部ではアンモニウムなどは液化し、温度は134℃にも達します。

土星の温度
画像:NASA

氷の火山を持つ不思議な冥王星については関連記事でまとめています。

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⑩土星の大気

土星の大気は96%の水素と3%のヘリウムを主成分として構成されおり、他にもアンモニアやアセチレン、プロパンにメタンなども含まれていることがわかっています。土星の雲はアンモニアなどの結晶によってできていて太陽から到達する紫外線は大気上層部のメタンによって分解されます。

土星の大気
画像:pixabay

また、土星の大気中では大規模な雷が発生していることがわかっており、そのエネルギーは地球の雷のおよそ1000倍に相当します。太陽系最速の風が吹く海王星については関連記事でまとめています。

関連記事:氷のマントルに太陽系最速の風!美しい海王星の真実

 

⑪土星の六角形の雲

土星に奇妙な六角形の雲が存在することを宇宙探査機ボイジャーが観測し写真に収めました。この六角形の雲は土星の北極上空に位置していますが、南極には存在していないことがハッブル宇宙望遠鏡の観測によってわかっています。

土星の六角形の雲
画像:NASA

この六角形の雲は長さが13,800キロメートルを超えています。これは地球の大きさをゆうに超える規模です。この不思議な雲は木星の自転速度とちょうど同じ速さで回転しているそうです。

 

⑫土星の磁気圏とオーロラ

土星の持つ磁場は木星の1/20ほどしかなく、地球よりも9倍大きい惑星にも関わらず地球より磁場が弱いことがわかっています。土星の磁気圏は土星内部に存在する液体の金属水素によって発生していると考えられています。

土星のオーロラ
画像:pixabay

この磁気圏は太陽風が土星内部に到達することを防いでおり、大気中のイオンがプラズマ化することによって大規模のオーロラを引き起こします。ダイヤモンドの海が存在する天王星については関連記事でまとめています。

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⑬土星の輪(環)

土星のシンボルともいえる輪(正しくは環)ですが、実はひとつだけではなく30以上の層が存在していることがわかっています。土星の輪は土星からとても遠くまで存在していますが、その厚さはたったの20メートルほどしかありません。

土星の輪(環)
画像:NASA

また、30の輪がそれぞれ異なる速度で回転しています。最近の研究で土星から約1000万キロメートル離れた場所で新しい土星の輪が発見されました。この輪は他の輪に対して27度ほど傾いており、逆方向に回転していることがわかっています。土星の輪の魅力については関連記事でまとめています。

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⑭土星の衛星タイタンと生命の可能性

土星の第6衛星であるタイタンは1600年代の中頃に発見され、ギリシア神話の巨大神ティーターンからその名前が付けられました。タイタンは土星最大の衛星で、その直径は約5150キロメートルと惑星である水星よりも巨大です。衛星としては木星のガニメデに次いで太陽系で2番目の大きさになります。タイタンは太陽から遠く離れているため地表温度が-179℃しかなく、液体の水は存在せず液体のメタンなどが流れる川や湖が存在しています。

土星の衛星タイタン
画像:NASA

タイタンは超低温でありながら豊富な大気と炭素化合物を持っているため生命の存在が期待されている星のひとつです。タイタンの地表に水は存在しませんが、地中には液体の水が存在する可能性が高いため地下に巨大な海と生命が存在するのではないかという研究者もいます。また、地表に存在する液体メタンの川や湖に地球とは全く異なるタイプの生命が発生している可能性も指摘されています。生命の父ともいえる太陽の謎や特殊な環境は関連記事でまとめています。

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衛星タイタンの生命
画像:NASA

 

⑮土星の衛星エンケラドゥスと生命の可能性

土星の第2衛星であるエンケラドゥスはギリシア神話に登場するギガース族のエンケラドスからその名前が付けられました。エンケラドゥスはタイタンに比べると小さく、直径は500キロメートルほどしかありません。地表面は白い氷で覆われており、光の反射率が高いため太陽系の中で最も白い星といわれています。水蒸気を含む大気が確認されており、火山や間欠泉などが存在すると考えられています。

土星の衛星エンケラドゥス
画像:NASA

タイタンと同じくエンケラドゥスにも生命が存在するのではないかといわれています。2014年にはエンケラドゥスの地下に巨大な海が存在することが判明しました。そのため、このエンケラドゥスの地下海は「太陽系で最も地球外生命体が存在する可能性が高い場所」といわれています。他にも90℃以上の熱水環境がなければ生成されない微粒子も発見されており、地球の深海で発見されたものと同じような熱水の噴出口が存在すると考えられています。地球の衛星である月の謎については関連記事でまとめています。

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衛星エンケラドゥスの生命
画像:NASA

 

⑯土星探査機パイオニア11号

パイオニア11号はNASA(アメリカ航空宇宙局)の無人宇宙探査機です。1979年に世界で初めて土星を探査した探査機としても知られています。パイオニア11号は土星や付近の衛星を撮影し、土星の輪についても調査を行いました。また、衛星タイタンの探査も行い地表の温度なども計測しました。

土星探査機パイオニア11号
画像:Andrzej Mirecki

 

⑰土星探査機ボイジャー1号・2号

1980年にはボイジャー1号が土星に接近し、土星や付近の衛星の写真を撮影しました。この写真はパイオニア11号が撮影したものよりも高画質であったため、衛星表面の様々な地形を確認することができました。また、衛星タイタンの大気のデータを採取することにも成功しています。

ボイジャー1号
画像:NASA

1981年にはボイジャー2号が土星の探査を行い、同じく衛星の写真や大気の情報を採取しました。また、土星の湿度や密度分布についての観測も行いました。しかし、カメラトラブルが発生し予定していた探査は不十分のまま次の探査地である天王星へと向かっています。不思議な構造物が存在する謎多き火星については関連記事でまとめています。

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ボイジャー2号
画像:NASA

 

⑱土星探査機カッシーニ

カッシーニはNASAとESA(欧州宇宙機関)の共同プロジェクトで打ち上げられた無人土星探査機です。2004年に土星の周回軌道に入り、長期の探査ミッションを開始しました。カッシーニは土星の高解像度写真を撮影し、衛星タイタンに対してもレーダーを使った探査を行いました。これによりタイタンの地表に巨大な湖や島、山などの地形を発見しました。また、カッシーニは小型の惑星探査機「ホイヘンス・プローブ」をタイタンに投入し、ホイヘンスはタイタンに無事着陸しました。

土星探査機カッシーニ
画像:NASA

2006年にはカッシーニが衛星エンケラドゥスに間欠泉と噴き出す液体の水を発見します。この発見によりエンケラドゥスは地球外生命体が存在する最有力候補になりました。また、カッシーニが撮影した画像からはそれまで考えられていたよりもずっと多くの土星の輪が確認されました。カッシーニは他にも新しく8つの衛星を発見し予定されていたミッションをすべてクリアしましたが、土星の季節変化を調査するため2017年までその運用が延長されました。

出典:wikipedia(土星),wikipedia(タイタン),wikipedia(エンケラドゥス)

 

いかがでしたか?輪というユニークなシンボルを持つことから多くのファンを持つ惑星「土星」についてご紹介しました。土星への探査は今後も予定されています。衛星タイタンやエンケラドゥスから地球外生命体が発見される日も近いかもしれません。