死んだ後に悪人が行くとされる死後の世界「地獄」。この地獄とは一体どのような場所なのでしょうか?また、地獄は本当に存在するのでしょうか?
今回は地獄の種類と階層、臨死体験で地獄に行ったとされる人々の体験談などをご紹介します。
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目次
地獄
地獄とは
地獄とは仏教やキリスト教などの宗教において死後に魂が到達するとされている場所のひとつです。生前に善い行いをした者が行く「天国(極楽)」とは違い、地獄は悪人の魂が行き着く場所だとされています。
地獄はとても恐ろしい場所であるとされ、死ぬことのなくなった魂魄が生前では耐えられないような厳しい罰を与えられるといわれています。
画像:Jigoku Zoushi
地獄という概念は現在でも人々に認識されており、「死後の世界」という意味はもちろん「非常に辛く厳しい状況」を表す言葉としても常用されています。
また、日本だけでなく世界各地で古くから死後の世界の概念が存在し、安らかな天国と恐ろしい地獄という両極端な二つの世界が信じられてきたことも非常に興味を引かれます。
地獄という言葉の由来
地獄という言葉には「地下の獄」という意味があります。不思議なことですが世界各地で地獄は地面の下に存在するという概念が存在しています。
また、「獄」という言葉には「処罰する」「閉じ込める」という意味があります。つまり地獄とは悪人を処罰し閉じ込める地下世界を表しているのです。
画像:pixabay
ちなみに地獄と同じ意味で使われる言葉に「奈落(ならく)」という言葉がありますが、これは古代インドで使われたサンスクリット語の「naraka」に由来しています。
地獄と反対の意味で使われる「極楽」という言葉もサンスクリット語の「スカーヴァティー」が語源であり、「幸福の溢れる場所」という意味があります。
日本・仏教における地獄と閻魔王
日本の仏教では人は死後、三途の川を渡り地獄を支配する10人の王によって裁きを受けるとされています。その中で最も有名なのが「閻魔王(えんまおう)」です。
閻魔王は死者の罪を裁く神であり、無限の慈悲を持つ「地蔵菩薩」と同一視されています。しかし、閻魔王は死者を極悪人と判断すると躊躇なく地獄へ突き落とします。
画像:Metropolitan Museum of Art
死者はその罪に合わせた地獄にて一定期間の罰を受けることになります。その責め苦は過酷を極め、罪人がこれ以上死ぬことがない魂であることを最大限に活かした内容になっています。
慈悲のある閻魔王は処罰期間の過ぎた者を開放し、再び転生の機会を与えるといわれていますが、後述するようにその期間は気が遠くなるほど長きにわたります。
西洋・キリスト教における地獄
西洋やキリスト教に伝わる地獄の概念は教派や解釈によって多少異なりますが、私たちがよく知る日本や仏教の地獄とよく似ています。それは死後の世界であり、旧約聖書や新約聖書においても数多くの記述が存在します。
それによると地獄とは「神を信じない者が罰せられる場所」であり、冥界の神ハデスや死者が存在する世界であるとされています。
画像:Herrad of Landsberg
しかし、カトリックにおける地獄は「自ら神と離れ去った状態」のことであり、必ずしも死後の世界とは限りません。つまり生きていても人は地獄に落ちると考えられるということです。
解釈の仕方に多少の差異こそありますが、世界中で地獄は死者が罰せられる場所であり、地下に存在すると考えられていることは興味深い真実です。
地獄の種類と階層『八大地獄』
日本の仏教においては極悪人は死後に地獄に落とされ、その罪の重さによって様々な罰を受けるとされています。これらの地獄は「八大地獄」に分類され、それぞれに非常に恐ろしい処罰が存在しました。
ここでは地獄の階層である八大地獄とそこに落ちるための条件をご紹介します。果たしてあなたは何地獄に該当しているでしょうか?
①等活地獄
等活地獄(とうかつじごく)は地獄の中でも最も処罰が軽いとされている地獄です。この等活地獄には生前にいたずらに命あるものを殺した悪人が落ちるといわれており、蚊や蟻などの虫もこれに該当します。
この他にも生前争いを好んだ者や反乱を起こして死んだ者もこの地獄に落とされるといわれています。
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等活地獄では受刑者同士が刃物による殺し合いをさせられ、切り刻まれる苦しみに耐えなければなりません。また、逃げまわる者は地獄の獄卒によって切り裂かれ粉砕されることになります。
しかし、死んでしまっても直ぐに身体が再生され、繰り返し殺し合いをさせられることになるのです。この等活地獄は1兆6653億1250万年続くとされており、刑期を終えるまで受刑者たちは苦しみ続けなければならないのです。
②黒縄地獄
黒縄地獄(こくじょうじごく)は生前に殺生をし、盗みを働いた者が落ちるとされている地獄です。出来心から一度だけ窃盗をした者は対象にならず、常習的に盗みを繰り返した者がこれに該当するとされています。
しかし、貧しい時代の日本では生きるために盗みを繰り返すしか術がなかった貧民も少なくありませんでした。それでも彼らは容赦なく黒縄地獄に落とされたことになります。
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黒縄地獄では熱せられた鉄の上に倒され、焼けた縄で体に線を焼き付けられます。さらにその痕を焼けた鋸(のこぎり)で切り裂かれ、削られることになるのです。他にも鉄の山を背負わされた状態で高い位置に張られた縄の上を歩かされますが、渡り切ることができずに落下して砕け散るか、運が悪ければ煮えたぎる鍋に落ちて茹でられます。
この黒縄地獄の苦しみは等活地獄の10倍にもなるといわれており、刑期は13兆3225億年に延長されます。
③衆合地獄
衆合地獄(しゅごうじごく)は殺生、窃盗に加え、淫行をした者が落ちる地獄です。ここでいう淫行とは浮気など一般的に禁忌とされる行為を指します。
宗教は性について厳しく取り締まっているものが多いため、それらが地獄の概念に影響しているのかも知れません。
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衆合地獄では受刑者は鉄の山に押し潰されて圧死を繰り返すことになります。また、刀の葉を持つ木が生えた森を走らされ身体中が切り刻まれたり、鉄でできた巨大な怪物に踏み潰されます。
衆合地獄の苦しみは黒縄地獄のさらに10倍といわれており、受刑者は106兆5800億年ものあいだ苦しみ続けなければなりません。
④叫喚地獄
叫喚地獄(きょうかんじごく)はこれまでの悪事に加え、酒にまつわる悪事を働いた者が落ちるとされる地獄です。ここでいう酒にまつわる悪事とは飲酒のことではなく、酒を飲ませて悪さを働いたり、酒と共に毒を飲ませるなどの行為を指します。
長寿の薬といわれる酒ですが、一歩間違えれば人を堕落させる危険性があります。叫喚地獄の概念はそれを説く教えなのかも知れません。
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叫喚地獄では熱湯で満たされた大釜や燃え盛る鉄の檻に閉じ込められて熱せられます。そのあまりの苦しみから受刑者が泣き叫び叫喚することがこの地獄の名前の由来です。
この他にも目から火を噴く巨大な獄卒に追われながら弓で射られたり、棍棒で殴り殺されたりする苦しみに耐えなければなりません。
叫喚地獄は衆合地獄のさらに10倍の苦しみであり、852兆6400億年ものあいだ苦しみ続けることになります。
⑤大叫喚地獄
大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)は他人に嘘をついて悪事を働いた者が落とされる地獄です。
嘘をつかず正直に生きなさいという教えから生まれた地獄ですが、人間は嘘をつく生きものであるため該当する死者は非常に多いことが予想されます。
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大叫喚地獄では叫喚地獄の刑罰の苦しさをそのまま拡大したような苦しみを与えられますが、使用される鍋や火力はさらに大きく、受刑者たちの叫びもさらに大きくなります。
大叫喚地獄は叫喚地獄の10倍の苦しさであり、6821兆1200億年に刑期が延長されます。
⑥焦熱地獄
焦熱地獄(しょうねつじごく)はこれまでの罪に加え、仏教の教えに背く考えや行いをした者が落ちるとされている地獄です。キリスト教も背信者を異端として処刑していた時代がありましたが、仏教においても教えに従わない者は罰を受けるという考えだったことがわかります。
仏教では信仰心の低い者や異教徒はこの焦熱地獄に落ちると教えられていたのです。
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焦熱地獄では受刑者は串刺しにされて身体が焦げるまで炎であぶられることになります。そして再生すると今度はバラバラに切り刻まれて、再び炎で焼かれることになります。
焦熱地獄の炎はこれまでの地獄の炎が冷たく感じるほど高温であり、仮に地表に持ち出せば一瞬で世界を焼き尽くしてしまうと考えられています。
焦熱地獄は大叫喚地獄の10倍過酷なもので、その刑期は5京4568兆9600億年です。
⑦大焦熱地獄
大焦熱地獄(だいしょうねつじごく)はこれまでの罪に加えて尼や幼児に乱暴を働いた悪人が落ちる地獄です。これに該当する者は間違いなく極悪人の部類であり、地獄で受ける責め苦も一層過酷なものになります。
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大焦熱地獄に落ちる者は生前の死に様も悲惨になるとされており、地獄では等活地獄かた焦熱地獄の苦痛をすべて合わせたものの10倍の苦しみを受けるといわれています。
受刑者が受ける刑罰は焦熱地獄の方法と変わりませんが、炎はさらに高温になり、刑期は43京6551兆6800億年にまで延長されます。
⑧無間地獄
地獄の中でも最下層に位置する無間地獄(むけんじごく)は悪人の中でも父母や聖職者を殺害した極悪人が落ちるとされている地獄です。無間地獄は地下の最も深い部分にあるため、到達するだけで2000年も落ち続けなければなりません。
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無間地獄の受刑者はこれまでの地獄のすべての刑罰に加え、毒や虫、動物を使った刑罰やこの世のすべて病の苦しみを絶え間なく受け続けることになります。その苦しみは人間が感じる恐怖と絶望の域を軽く超え、これまでの地獄がまるで極楽であったと錯覚するほどだといわれています。
無間地獄の刑期は349京2413兆4400億年にも達し、罪を償い転生できるまでに気が遠くなるほどの責め苦を受けなければなりません。
しかし、地獄と地上では時間の流れる時間が違うため、受刑者は死んでからそれほど時間を空けずに転生するといわれています。
地獄を経験した人の体験談
臨死体験をした人が花畑や三途の川を目撃するという話は多数あります。それと同じように死に瀕した際に地獄のような体験をしたという報告もあるそうです。
ここでは臨死体験中に地獄を経験したとされる人の体験談をご紹介します。
①落下する感覚
臨死体験者には高いところから落下していくような感覚を経験したと答える人が一定数存在します。自分の体が落ちて行くとき彼らは焦って何かに掴まろうと試みますが、辺りに掴めるものは何も存在しなかったといいます。
臨死体験者は明かりのない奈落の底に落下していったとも証言していますが、それは地獄に落ちて行く途中だったのでしょうか?
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落下という現象は生命の危険を伴うため、人間にとっては根本的な恐怖です。地獄に「落ちて行く」というという概念自体も、それが私たちにとって恐怖の象徴であるからこそ生まれた考え方なのかも知れません。
②辺りを埋め尽くす死体の山
綺麗な花畑とは対照的に臨死体験者の中にはおぞましい光景を目撃した人も存在しています。それは辺り一面を埋め尽くす死体の山であり、その光景はまさに私たちが想像する地獄そのものだったといいます。
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臨死体験者の多くは自分が死にかけていることに気付いていなかったため、このように死を連想させる光景を目撃するというのは奇妙であるといえます。
彼らが立ち寄ったその場所は私たちが地獄と呼ぶ場所だったのでしょうか?
③強烈な悪臭
落下や不思議な光景を目撃していなくても地獄の片鱗をのぞいた臨死体験者も存在します。彼らが体験したのは想像を絶するほどの悪臭でした。
それは魚や肉などの動物が腐ったような臭いであり、死体の腐臭をイメージさせたといいます。
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当然ですが、現実の彼らは治療を受けている最中であり、腐臭を放つ死体と接触していたわけではありません。もしかしたら臨死体験中の彼らが感じた悪臭とは地獄の臭いだったのかも知れません。
④燃え盛る大地と地獄の門
死体の山を目撃したり悪臭を感じなかった臨死体験者の中にはとても奇妙な光景を目にした人もいます。それは炎に包まれた大地と巨大な門のような建築物でした。
地獄と思われる臨死体験をした人の中には炎を見たという人が多数存在しています。また、建築物の中でも特に門を見たと答える人が多いのです。
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これらは地獄の受刑者を焼き尽くす炎であったり、地獄の入り口の門ではないのかといわれています。彼らがこの門をくぐっていれば生きてこの世に帰ってくることはできなかったのかも知れません。
⑤彷徨う死者の群れ
臨死体験者の中には単なる死体ではなく、動き彷徨う死体の群れを見たと証言する人も存在しています。死者が動くということ自体が現実では起こりえないことであり、地獄を連想させる光景です。
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しかし、先述したとおり彼らは自分が死にかけていると認識していないことが多いため、無意識にも地獄のような光景を思い描くことはありません。
彼らが見た彷徨う屍はただの空想だったのでしょうか?それとも彼らが覗いてしまった地獄の住人達だったのでしょうか?
⑥身の毛もよだつ叫び声
酷い悪臭と同じように悪夢のような光景を目撃していなくても地獄を体験したと思われる例は他にも報告されています。彼らが耳にしたのは身の毛もよだつような恐ろしい叫び声でした。
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その声はひとりではなく複数人のものであり、まるで拷問でも受けているかのような悲痛な叫び声だったといいます。中には気が狂ってしまったような雄たけびを聞いたという臨死体験者も存在します。
⑦悪魔との遭遇
地獄と思われる臨死体験をした人たちの証言で最も衝撃的なのは、悪魔と思われる怪物を見たというものです。彼らは地獄のような場所で世にも恐ろしい悪魔に遭遇し、追いかけ回されたといいます。
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中には悪魔が地獄の受刑者と思われる人々を痛めつけている場面に遭遇したり、自分が捕らえられて拷問を受けたと証言する人まで存在します。
彼らが目撃した悪魔は一体何者だったのでしょうか?それは地獄の恐ろしい住人だったのでしょうか?
出典参考:wikipedia,therichest
画像:Jpatokal wts wikivoyage
いかがでしたか?死後に悪人が行くとされる恐ろしい場所、地獄についてご紹介しました。死後の世界は死者しか行くことができないため、地獄がないと証明できた人はいないのです。
果たして死後の世界は本当に存在するのでしょうか?また、この世の罪を償うとき人はどのような罰を受けるのでしょう?世界にはまだまだ不思議が溢れています。