ある日突然現れるもうひとりの自分「ドッペルゲンガー」。その姿を見た者は近いうちに死ぬといわれています。ドッペルゲンガーの目撃報告は何世紀も昔から存在し、現在まで数多くの記録があります。
今回はドッペルゲンガーの定義や目撃事例をご紹介し、その正体に迫ります。
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目次
ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガーとは
意味と定義
ドッペルゲンガーとは、ドイツ語で「重なって歩く者」という意味があり、自分自身を第三者目線で目撃する現象です。双子や自分と顔が似ている他人に対しては使われず、あくまで自身の分身と遭遇した場合にだけ用いられます。
常識的には起こり得ない現象であるため、心霊現象や超常現象のひとつに数えられています。
ドッペルゲンガーの特徴
報告されているドッペルゲンガー現象にはいくつかの共通点が存在します。例えば分身は本人の行ったことがある場所にしか現れないことです。
ドッペルゲンガーはあたかも自分自身が本人であるかのように日常生活の範囲に出現しています。その様子を目撃した人間はまるで自分がドッペルゲンガーで、分身が本人のように錯覚するほどだといいます。
ドッペルゲンガーは人と会話をしないともいわれています。目撃されるドッペルゲンガーは周囲の人間とコミュニケーションをとることはほとんどありません。
ドッペルゲンガーは本人の意思とは関係なく、ある日突然現れ本人を愕然とさせます。また、「ドッペルゲンガーを見ると近いうちに死ぬ」ともいわれており、古くから不吉の象徴とされてきました。
ドッペルゲンガーを体験した人物
リンカーン大統領
弁護士でありアメリカの16代大統領エイブラハム・リンカーンはドッペルゲンガーを目撃していたと伝わっています。生前リンカーンは鏡越しに死んでいる自分のドッペルゲンガーを見ていたといわれています。
また、妻によく不気味な夢を見るとも話していたそうです。夢の中でリンカーンは人々の嗚咽で目を覚まします。すると寝室には棺が設置されており、それを囲んで民衆が泣いているのだそうです。
「誰が亡くなったんだ?」と尋ねると人々は口を揃え「大統領が殺されました。」と答えます。そしてリンカーンは棺に収まった自分自身を目撃するのです。
また、リンカーンは暗殺された当日も「私の暗殺の噂を聞いていないか?」と確認したといわれています。
リンカーンはドッペルゲンガーと同時に予知夢を見ていたのではないかともいわれています。予知夢については関連記事にまとめています。
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ゲーテ
ドイツの有名な詩人であり、賢明な政治家でもあったゲーテもドッペルゲンガーを目撃していました。ある日ゲーテが馬で帰宅している途中、反対側からこちらに向かってくる自分を発見しました。
ゲーテはこの経験を肉体の目ではなく心の目で見たようだと語って聞かせたといいます。それから8年後にゲーテはまた不思議な経験をしています。
馬で出かける最中でゲーテはこの日の服装が以前目撃したドッペルゲンガーと同じだということに気が付きます。そのとき、過去に見た自分は現在(未来)の自分を目撃したものだったことに気付きました。
また、別の日には自分と同じ服を着て道を歩いて行く友人を目撃します。不思議に思いながらゲーテが帰宅すると、そこには物理的にいるはずのない友人が先ほどと同じ服を着て休んでいました。
友人は突然の雨に降られ、服が濡れてしまったのでゲーテの服を借りていると語りました。ゲーテは自身だけでなく友人のドッペルゲンガーも目撃していたのです。
芥川龍之介
日本の文豪芥川龍之介もドッペルゲンガー現象の経験を雑誌のインタビューで話していた記録があります。芥川は「人を殺したかしら」という未完の小説を残して死んでいますが、その題材が「もうひとりの自分」であり、ドッペルゲンガーの目撃から書かれたものだといわれています。
芥川の自殺の前日に家を訪ねた編集者がこの小説を見つけます。しかし、芥川はそれを読もうとした編集者に激怒し、「それに触るな!」と言ったそうです。
芥川はその原稿にある自分の名前を筆で塗りつぶし、その場で破り捨てました。しかし、翌日に芥川宅を訪ねた編集者が見たものは自殺した芥川の死体と、皺ひとつない昨日破られたはずの原稿でした。
エリザベス一世
イギリスの王女エリザベス一世も死の間際にドッペルゲンガーを見たと証言しています。彼女は聡明かつ現実的な性格で周りからは心霊現象などには縁がない人物だと思われていましたが、突然幽霊のような自分の分身を見たと言い出し側近たちを驚かせました。
王女は死んだようにベッドに横たわる自分を見たといいます。その直ぐ後にエリザベス一世は亡くなりました。
モーパッサン
フランスの文豪ギ・ド・モーパッサンは作品をドッペルゲンガーから教えてもらったと語ったそうです。ある日、執筆中だったモーパッサンの部屋に突然自分が入ってきました。
この分身は書いていた作品の続きを捲し立てるようにしゃべり始めたといいます。驚きながらもモーパッサンはこの内容をメモしました。
ふと気が付くとすでに分身は消えていました。また、別の日に現れたドッペルゲンガーは何も話さず、悲しみに満ちた顔で頭を抱えていました。
それを見たモーパッサンは精神病院に入院し、一年後に亡くなりました。
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エミリー・サジェ
フランスの教師エミリー・サジェはドッペルゲンガーにより20回以上転職を繰り返していました。彼女は教師として非常に優秀でしたが、子供たちからは「二人の先生」と呼ばれることになります。
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子どもたちは授業中にふたりのエミリー先生から授業を受けており、分身は本人と全く同じ動きで黒板に文字を書き、給食を食べていたと語ったそうです。また、授業中に子どもたちから「それはもう先生から教わりました。」と指摘されることも多かったそうです。
ドッペルゲンガーはやがて本人と全く違う動きをするようになり、他の教師にも目撃されるようになりました。
ジャネット・ブレナン
アメリカの一般女性ジャネット・ブレナンは30年という長期にわたってドッペルゲンガーに悩ませられることになりました。彼女が12歳のとき最初の分身が現れます。友人が家を訪ねて来るなり、「さっきはどうして無視をしたのさ!」と彼女を問い詰めました。
友人によると二階の窓から外を見ていたジャネットに手を振ったにも関わらず彼女はまったく反応を示さなかったといいます。
しかし、ジャネットはその時間にリビングで姉とテレビを観ており、二階にはジャネットどころか誰もいるはずはありませんでした。この経験以降彼女の周りではもうひとりのジャネットの目撃報告が多発することになります。
彼女は「無視」をしたことを理由に多くの友人を失うことになりました。それは結婚してからも続き、彼女の娘までドッペルゲンガーが出現するようになったといいます。
ドッペルゲンガーの正体
たくさんの報告例があるドッペルゲンガー現象はなぜ起きるのでしょうか?ここではドッペルゲンガーの正体としてよく語られる説をご紹介します。
精神疾患説
精神疾患の症状には多重人格のように複数の自分を発現させるものが存在します。また、幻覚として自分の姿を目撃するという事例もあるそうです。
ドッペルゲンガーを目撃する人物の中には精神疾患が認められる人も少なくないため、病気がその原因ではないかといわれています。しかし、分身は本人以外にもその姿を見せていることからその全てを説明することはできません。
脳疾患説
側頭葉と頭頂葉の境目にある「側頭頭頂接合部」に腫瘍ができるとドッペルゲンガーに似た症状が出ることがあります。側頭頭頂接合部には自身の認識機能があり、これが侵されると自分の感覚が自身の身体を離れたように感じるそうです。
しかし、これも精神疾患説と同じく他人による目撃情報の説明が付きません。
未来の自分説
ゲーテなどの事例の他にも未来の自分(年老いた自分)を目撃した例も報告されています。そのため、ドッペルゲンガーは未来から人為的、もしくは超自然現象的にタイムトラベルしてきた自分ではないかという説もあります。
しかし、ドッペルゲンガーを目撃した人物の多くは直後に死亡しているため、そもそも未来の自分が存在しない可能性があります。また、タイムトラベル自体が確認されておらず、現在の自分のドッペルゲンガーを目撃している事例にも説明が付きません。
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パラレルワールド説
未確認の超自然現象などにより異次元に存在する自身を目撃したとする説です。パラレルワールドが存在する可能性は、現在では実現し得るものとして科学的に議論されるようになりました。
この異次元の自分が、何かしらの理由により目撃できたのではないかというものです。目撃後の死亡も異次元との接触により因果律が乱れ、それが原因で死に至ったのではないかという意見もあります。
しかし、教師ジャネットの事例で複数の人間がドッペルゲンガーを目撃していますが、なぜ彼女個人だけに異次元の歪が起きるのかを説明することができません。
世界中で報告されているパラレルワールドの事例については関連記事にまとめています。
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心霊現象・超常現象説
ドッペルゲンガーは常識では説明が付かないため、幽霊や死神などの心霊現象、超常現象として語られることが多いです。また、その内容が幽体離脱などの臨死体験と酷似していることもこの説を信じる人が多い理由としてあげられます。
しかし、ドッペルゲンガーは一般的な幽霊のように曖昧なものではなく、生きた人間としての存在感があるといわれています。
いかがでしたか?ある日突然あなたの前に現れる死の象徴「ドッペルゲンガー」。見てみたいような、でもやっぱり見たくないような、複雑な気持ちになりますね。