最強の恐竜はこいつだ!太古の生態系王者に迫る

恐竜 最強


絶滅した古代生物の中で最も人気が高い恐竜。恐竜に人気がある理由のひとつが生物としての強大さです。彼らは非常に長い期間に渡って繁栄してきたため、何種類もの生態系の王者が存在します。

今回はそんな王者の中から最強の恐竜について予想してみようかと思います。

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最強恐竜の候補たち

一口に恐竜と言ってもその数はおよそ800種類も存在します。ここではその中から最強を語る上で名前が挙がることが多い恐竜たちをご紹介します。

①ティラノサウルス

最強の恐竜といえば間違いなく名前が挙がるのがこの「ティラノサウルス」です。ティラノサウルスは白亜紀の北アメリカ大陸に生息していた大型の肉食恐竜でした。名前の由来は「トカゲの暴君」から来ており、王者の風格は十分です。

ティラノサウルス

画像引用:inquisitr.com

ティラノサウルスは全長は13mほどで体重は6トンにもなる巨漢です。頭の大きさは1.5mもあり、その口には非常に鋭い牙が並んでいました。ティラノサウルスの牙は他の大型肉食恐竜と比べても非常に巨大で、その長さは18cmにもなるそうです。この牙で大きな獲物を仕留めていたんですね。

ティラノサウルス

画像引用:dinosaurs.about.com

ティラノサウルスに襲われた痕跡がある恐竜が発見されましたが、その骨は粉々に噛み砕かれていました。そのことからティラノサウルスは非常に強い顎を持っていたことがわかっています。ヴェロキラプトルなどの小型肉食恐竜が爪を武器に獲物を捕らえるのに対し、大型肉食恐竜であるティラノサウルスは顎を武器にして獲物を捕食していました。

ちなみにティラノサウルに羽毛があったことは現在では有名ですが、実は大人のティラノサウルスはその巨体から恒温動物に近かったため羽毛を持たないというのが最近の結論です。後に載せている動画でも子どものティラノサウルスにのみ羽毛があったことが確認できます。この新しい学説により王者の威厳は保たれました。
 

②アロサウルス

アロサウルスは「異なるトカゲ」の名を持つジュラ紀の大型肉食恐竜です。アロサウルスはティラノサウルスと並んで古くから発見されていた人気恐竜のひとつです。全長は最大で12mとティラノサウルスに比べれば若干小さいものの、巨大な顎と強靭な脚力を持っていたといわれています。

アロサウルス

画像引用:deviantart.com

アロサウルスは全盛期には食物連鎖の頂点に君臨していました。大きな体に加え、草むらから奇襲をしかける狡猾さと共食いをする凶暴さも兼ね備えていました。同じ時期に生息していたステゴザウルスなどの大型草食恐竜も構わず襲い、捕食していたことがわかっています。巨大なラプトルのようなイメージを受けますね。
 

③ギガノトサウルス

ギガノトサウルスは白亜紀後期の南アメリカ大陸に生息していた大型の肉食恐竜です。ギガノトサウルスはティラノサウルスを超える巨体の持ち主で、全長は13mを超え体重に至っては13.5トンもあったといわれています。全長こそティラノサウルスとほとんど変わりませんが体重に関しては倍もあり、かなりの重量級だったことがわかりますね。ギガノトサウルスの名前は「巨人のトカゲ」を現しており、その巨体から付けられました。

ギガノトサウルス

画像引用:dinopedia.wikia.com

しかし、最近の研究により実はティラノサウルスと同じ程度の体重だったのではないかともいわれています。また、頭の大きさは1.7mと非常に大きいのですが顔付が細長いため、咬む力はティラノサウルスの三分の一程度しかなかったと考えられています。しかし、優れた嗅覚を持っていたこともわかっており、巨体にも関わらず時速40㎞ほどで走っていたとみられています。
 

④アクロカントサウルス

アクロカントサウルスは白亜紀の北アメリカ大陸に生息していました。当時の北米では最大の肉食恐竜で、全長は13mほどだったと考えられています。アロサウルスの仲間だそうですが、アロサウルスにはない特徴的な背びれを持っていました。この背びれには風を当てて体温を下げる役割があり、温暖化が進んでいた当時の気候に対応していたと考えられています。ステゴサウルスなどの背板と同じ役割だったんですね。

アクロカントサウルス

画像引用:paleoguy.deviantart.com

アクロカントサウルスは、大型肉食恐竜にしては珍しく集団で狩りをしていた可能性があるといわれています。また、時速40㎞を超える速度で走ることもでき、集団で大型の草食恐竜を襲っていたのかも知れません。想像しただけで恐ろしい気持ちになりますね。

 

⑤カルカロドントサウルス

カルカロドントサウルスは白亜紀前期の北アフリカ大陸に生息した肉食恐竜です。「ホオジロザメのトカゲ」を意味する非常に物騒な名前が付けれています。名前の由来はサメに似た薄いノコギリ状の歯で、獲物の肉を軽々と切り裂くことができました。全長は最大で14mに達し、ティラノサウルスよりも大きな体を持っていました。

カルカロドントサウルス

画像引用:dinopedia.wikia.com

カルカロドントサウルスの歯は獲物を切り裂く食べることに向いた形状をしていたことから積極的に狩りをしていたと考えられています。ティラノサウルスを含め多くの大型肉食恐竜は死んだ獲物の肉を食べる機会が多かったとされていますが、カルカロドントサウルスはナイフのような鋭い歯で生きた獲物を仕留めるハンターでした。非常に凶暴な性格だったんでしょうね。
 

⑥シアッチ・ミーケロルム

シアッチ・ミーケロルムは白亜紀後期の北アメリカ大陸に生息していた肉食恐竜です。全長は12m、体重は5トンほどのこの恐竜は神話に登場する人食い怪物にちなんでその名前が付けられました。カルカロドントサウルスの仲間にあたるそうです。

シアッチ・ミーケロルム

画像引用:bangaloremirror.com

シアッチ・ミーケロムは当時の北アメリカで食物連鎖の頂点に君臨していました。この時代には原始的なティラノサウルスも生息していましたが、シアッチ・ミーケロムの相手にはなりませんでした。大型のティラノサウルスが出現するのはこの3000万年ほど後になります。当時のシアッチ・ミーケロムとティラノサウルスの関係はライオンとハイエナのような関係だったのではないでしょうか。
 

⑦スピノサウルス

現在ではティラノサウルスに並ぶ人気者のスピノサウルスです。スピノサウルスは白亜紀のアフリカ大陸に生息していた大型の肉食恐竜でした。名前には「棘のあるトカゲ」という意味があります。全長は17mに達し、ティラノサウルスを超える巨体を持っていました。体重に関しては6トン程度だったとする説もありますが、骨密度が高く水辺で生活していたことから実は20トンを超えていたのではないかともいわれています。体格だけなら候補の中でも最大級ですね。

スピノサウルス

画像引用:devon-dink-dino.wikia.com

スピノサウルスは背中に生えた棘状の突起物に皮膚でできた膜が張られていました。この膜を風に当てることで、同じ時代の他の恐竜たちと同じように体温を下げていたといわれています。頭部はワニに似た細長い形状になっており、魚を主食にしていたと考えられています。また、鼻先にワニに似た知覚器官を持つことから水中や浅い川辺で生活していたことがわかっています。スピノサウルスが潜んでいると考えると白亜紀の水辺はとても危険な場所だったんでしょうね。

 

ティラノサウルスVSスピノサウルス

これまで何種類か最強の恐竜の候補を挙げてきました。どれも非常に巨大で恐ろしい恐竜でしたが、やはり最強を決める段階になるとティラノサウルスとスピノサウルスを比較することになると思います。ここでは、この二匹の能力解析とイメージ動画をご紹介します。

ティラノサウルスの戦闘能力

①咬む力

ティラノサウルスの咬む力は地球史上最強といわれています。その力は現存生物でも最強の顎を持つワニの10倍といわれ、牙1本あたりにかかる力はなんと8トンにもなりました。ティラノサウルスは獲物に咬みついた際に、その肉だけでなく骨まで粉々に粉砕してしまいます。
 

②嗅覚

ティラノサウルスはその骨格の作りから非常に嗅覚が発達していたといわれています。サメも少量の血の匂いを嗅ぎ分けますが、ティラノサウルスもその嗅覚によって弱った敵を判別していたのかもしれません。

ティラノサウルス

画像引用:animals.howstuffworks.com
 

③巨大な牙

ティラノサウルスの牙は同じ大型肉食恐竜の中でも特に大きいことがわかっています。この牙は相手に致命的な傷を負わせ、もし運よく逃げ延びたとしても出血多量によって獲物を死に至らしめました。その後ティラノサウルスは血の臭いを追いかけ、ゆっくりと死体の肉にありつくことができました。
 

④頭の良さ

ティラノサウルスは強力な脚力を持っていましたが、その移動速度は時速30㎞ほどだったといわれています。そのため弱った獲物を狙ったり、草むらに身を潜めて相手に奇襲をかけていたと考えられています。ティラノサウルスは巨大な体格だけでなく狡猾さも兼ね備えていました。
 

 

スピノサウルスの戦闘能力

①巨大な体

スピノサウルスの最大の武器はその体格でしょう。大型のティラノサウルスが最大で13mほどなのに対し、スピノサウルスはおよそ1.3倍の17mにまで成長しました。体重に至っては3倍以上です。仮に二匹が同じ種類の恐竜なら勝負するまでもないほどの体格差だと思います。
 

②水陸両用

スピノサウルスの陸上と水中での動きには諸説ありますが、水陸に対応できることは大きな強みになります。研究者によるとスピノサウルスは陸上の大型生物を水中に引きずり込んで捕食していた可能性もあるそうです。

スピノサウルス

画像引用:moroccantimes.com
 

③強靭なアゴ

スピノサウルスの顎は細長いワニのような形状で、非常に強靭な力を持っていたことがわかっています。ティラノサウルスには敵いませんが、2m近くもある顎は十分強力なな武器になりました。
 

④大きな爪

スピノサウルスは他の大型肉食恐竜に比べて非常に大きく鋭い爪を持っています。この爪は直接的に狩りの役に立ったかはわかりませんが、補助的な武器にはなったはずです。
 

スピノサウルスのイメージ動画


引用:bbc.com

 

最強の恐竜はどちらか?

ティラノサウルスとスピノサウルスは繁栄した時代や生息地が違うため、正確な優劣をつけることは難しいといわれています。ここでは、彼らが同じ時代に存在したと仮定し最強の恐竜決定戦をしてもらうことにしましょう。また、状況や戦う場所によっても結果は変わるという前提で考えてみたいと思います。

水辺での最強恐竜決定戦

水を飲みに来たティラノサウルスが水辺にいたスピノサウルスと鉢合わせしてしまいました。ぬかるんだ足元にティラノサウルスの脚力は十分に発揮されません。強靭な顎でスピノサウルスの首元に食らい付こうとしますが、住み慣れた水辺ではスピノサウルスを捕らえることは難しいでしょう。水辺でバランスの取れないティラノサウルスの足などを攻撃し、スピノサウルスは相手を水中に引きずり込みます。こうなればティラノサウルスは何もできないまま水中でスピノサウルスの餌食になってしまうでしょう。

水辺での最強恐竜

画像引用:carnivoraforum.com
 

森林での最強恐竜決定戦

今度は逆にスピノサウルスが陸地に上がったシチュエーションです。森に流れる川を泳いでいたスピノサウルスは恐竜の死体の臭いに惹かれて陸地に上陸してきます。スピノサウルスはクマのように魚だけでなく陸地でも動物を捕食したり、死体を貪ることがありました。小型の草食恐竜の死体を見つけたスピノサウルスは後からやって来たティラノサウルスに遭遇します。陸地では十分に能力を発揮できるティラノサウルスはほとんど奇襲に近い形でスピノサウルスの首に噛み付きます。スピノサウルスは鋭い手の爪で抵抗しようと試みますが、そのまま首の骨を噛み砕かれてしまうでしょう。後からやってきたティラノサウルスは草食恐竜の死体と新鮮なスピノサウルスの肉も手に入れることができました。

森林での最強恐竜

画像引用:hdimagelib.com
 

状況や場所に左右されない最強恐竜決定戦

これは本当に難しいのですが純粋に戦闘能力を比べた場合、現在では7割方スピノサウルスが勝つといわれています。これは体格の差によるところが大きいです。自然界では体の大きさというのは重要で、一部の例外はあるにしろ基本的に生物は自分より大きな獲物を捕食しません。それは勝率が低く死につながる怪我をするリスクが高いからです。しかし、ティラノサウルスには強靭な顎があることや、スピノサウルスは背中の構造上激しい動きが苦手という意見もあることからティラノサウルスにも3割の勝率があると予想しました。

最強恐竜

画像引用:herschel-hoffmeyer.deviantart.com
 

いかがでしたか?人気のティラノサウルスやスピノサウルスもまだまだ解明されていない点が多く、その生態予想は何度も変わるため今後の研究成果によっては違う結果になることもあるかも知れません。また、新種の大型肉食恐竜が見つかる可能性も低くはありません。どんな結果であれ研究が進むことを心待ちにしています。