美しくも強力な「知略の女神アテナ」。SF作品やゲームなどにも登場し、正義の味方として知られている彼女にも意外過ぎる秘密がありました。
今回はアテナの壮絶な誕生秘話やその能力、ゼウス似の性格などをご紹介します。
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目次
アテナ
①アテナとは
アテナ(アテーナー)は知恵や戦略を司る「知性の女神」であり、ゼウスやポセイドンなどが属する「オリュンポス十二神」のひとりです。処女の誓いを立てた処女神としても知られており、「狩猟の女神アルテミス」や「炉の女神ヘスティア」と合わせて「三大処女神」とも呼ばれています。アテーナーやアテネと呼ばれることもありますが、日本では「アテナ」と訳されることが多いようです。
画像:Jastrow
アテナは様々な都市の守護女神とされています。その中でも最も有名なのがオリンピックの開催地にもなったギリシャ共和国の首都「アテネ」です。アテナイ(アテネの古い呼び方)には世界遺産にも登録されている「パルテノン神殿」が建てられており、女神アテナが祀られています。アテナは「梟(フクロウ)」を自身の聖獣としており、平和を現す「オリーブ」や知恵を現す「蛇」もその象徴とされています。
②アテナの能力
アテナは「アイギスの盾」と呼ばれるゼウスから譲り受けた盾を持っています。アイギスの盾には魔除けの能力が備わっており、邪悪な力や災厄などを防ぐ力がありました。この防具は「鍛冶神ヘパイストス」が創った物だとされています。アテナは他にも彼女の後に控える100人の兵が隠れるほど巨大な兜も装備しており、槍を武器に戦いました。
アテナはこの盾に自身が怪物へと変え「英雄ペルセウス」が退治した「怪物メデューサ」の生首を埋め込んでおり、メデューサの石化の呪いで敵を石に変えることもできました。
また、その雄叫びは勇敢な千の兵士をも一瞬で怯ませる迫力で、知性と戦略を司る力で困難な戦いも勝利に導くことができました。他にもアテナは黄金の杖を持って描かれることもあるようです。
③アテナの性格
アテナは知性に溢れたとても美しい女神でした。また、戦略を司るアテナは残忍で悲惨な戦いをする「戦神アレス」とは違い、気高く理性的な戦いを好んだといわれています。さらには非常に思慮深い女神としても知られおり、学者や裁判官たちからは厚い信仰が寄せられました。
しかし、その反面で男勝りに気が強く、自由奔放でプライドが高かったとされることもあるようです。そのためアレスからは「アテナは我がままに振る舞い過ぎている」と指摘されることもありました。また、自身の神殿を汚したポセイドンの愛人メデューサにはその姿を怪物に変えるという苛烈な罰を与えており、死後もその生首を自身への攻撃を防ぐ盾として扱う恐ろしい一面もありました。アテナは自由人であり、守るべき者には慈悲深く、自身に背く者には手厳しいという点でゼウスに非常によく似ています。
④アテナの誕生
アテナは「天空神ゼウス」と「知性の女神メティス」の娘ですが、その誕生には複雑な経緯がありました。ゼウスの最初の妻だったメティスは結婚後にアテナを身籠ります。しかし、ゼウスの祖母である「地母神ガイア」がゼウスとメティスの子どもがゼウスを超える神となると予言しました。これを恐れたゼウスは子どもが産まれないように妊娠したメティスを丸呑みにしてしまったのです。知性を司る妻メティスを吸収したことにより、ゼウスは「全知」を手に入れることになりました。とんでもない話ですね。
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しかし、メティスが身籠ったアテナは消滅することなくゼウスの体内で成長し続けました。アテナが成長するにしたがってゼウスは激しい頭痛を感じるようになります。ある日、頭痛に耐えきれなくなったゼウスは、「人類に火を与えた神プロメテウス」(炎と鍛冶の神ヘパイストスだったという説もある)にラブリュスと呼ばれる両刃斧で自分の頭を割らせます。すると割れたゼウスの頭から成人して鎧をまとった「知性の女神アテナ」が誕生したのです。この時、世界は天変地異に見舞われ、宇宙が揺れ動いたといわれています。アテナがゼウスの頭から誕生したことにより、ゼウスを超える子どもがメティスから産まれるというガイアの予言は無効化されることになりました。
⑤アテナの親友パラス
誕生後アテナはポセイドンの息子「海神トリトン」の娘である「パラス」と共に育てられました。アテナとパラスは親友になり、お互いに切磋琢磨して戦いの術を学びました。ところがある日、ふたりは口論となりそのまま戦闘になってしまいます。戦いの最中パラスがアテナに一撃を与えようとした瞬間、ゼウスが娘を守るため天空からアイギスの盾を差し出しました。これに驚いたパラスはアテナの攻撃を避けきれず命を落としてしまいます。
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我に返ったアテナは自分の手によって親友を殺してしまった事実に打ちひしがれました。そして、パラスの死を悲しんだアテナは彼女に似せた木像「パラディオン」を創ったといわれています。フランスのトランプではスペードのクイーンは「パラス」がモデルになっており、クイーンの中でただひとり武器を持って描かれています。
⑥アテナとギガントマキア
巨人族ギガースとオリュンポスの神々が争った「ギガントマキア」でも、アテナはその力を発揮しています。アテナはポセイドンと共に最強のギガースである「エンケラドス」と戦っており、島をそのままくり貫いてこれを圧殺しています。
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また、パレネの地を踏みしめている限り決して死ぬことのない不死身の「アルキュオネウス」を、「英雄ヘラクレス」と共に引きずり出し撲殺しました。また、ギガース族の「パッラース」を倒して生皮を剥ぎ、盾を創ったとされており、これにより「パラス・アテナ」と名乗るようになったという逸話も残っています。
⑦アテナの子エリクトニオス
処女を貫くという誓いを立てたアテナですが、不幸な経緯から鍛冶神ヘパイストスとの子どもを産んでいます。ある日、アテナは武具製作の依頼のためヘパイストスの元に訪れます。しかし、待ち受けていたのは「美の女神アプロディーテ」である妻と結婚生活がうまくいかず、欲情を持て余していたヘパイストスでした。彼は欲望の赴くままに美しいアテナを襲おうとしたのです。これに驚いたアテナは処女の誓いを守るために必死でヘパイストスから逃げ出します。
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アテナは機敏な動きで純潔を守り抜きましたが、その足にヘーパイストスの体液をかけられてしまいました。アテナがこれを羊皮で拭き取って捨てると、その場所から「エリクトニオス」が産まれたといわれています。望まない出産ではありましたがアテナはエリクトニオスを自分の息子として育てる決心をしました。アテナはアテナイにある「アテーナー神殿」でエリクトニオスを育て、成長した彼は後のアテナイ王となりました。また、父であるヘパイストスの元で修業し、戦闘に用いられる「ギリシア戦車」を発明したといわれています。
⑧アテナと英雄たち
アテナは英雄たちに協力的な女神としても知られています。アテナは彼女の神殿を汚したポセイドンの恋人メデューサを醜い怪物に変えていますが、ペルセウスがこれを退治する際には「呪いの眼」を直視しなくても戦えるように鏡面仕上げの盾を貸し与えています。
また、「英雄ヘラクレス」が毒の糞をまき散らす怪鳥「ステュムパーリデスの鳥」を退治した際には、ヘパイストスが創った青銅製の巨大な銅鑼を貸し与えました。その他にも「英雄ベレロポン」に空飛ぶ馬「ペガサス」を手懐けるための「黄金のくつわ」を与えたという逸話が残っています。SF作品やゲームなどでアテナが正義の味方として描かれるのはこのためです。
画像:howarddavidjohnson,playbuzz
出典:wikipedia
いかがでしたか?知略の女神アテナの誕生秘話や意外な性格についてご紹介しました。アテナは恐ろしくも優しき知略の女神だったのです。