オリュンポス十二神に名を連ねる「美の女神アフロディーテ」。そんなアフロディーテには愛の女神らしからぬ面食い過ぎる一面がありました。
今回はアフロディーテの能力や性格、恋にまつわる逸話などをご紹介します。
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目次
アフロディーテ
①アフロディーテとは
アフロディーテ(アプロディーテー)は、ギリシア神話に登場する「美の女神」です。アフロディーテは愛と性を司るとされており、その美しさは数多く存在する女神の中でも一番だとされています。アプロディーテーやアプロディタと呼ばれることもありますが、日本ではアフロディーテと訳されることが多いようです。
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古代アジア民族が信仰していた「大地の女神」がアフロディーテのモデルで考えられています。また、性を司る力は植物の繁殖が元になっているといわれています。愛人である軍神アレスの影響で美の女神でありながら、「戦の女神」として信仰されることもあるようです。
②アフロディーテの能力
アフロディーテは「魔法の宝帯」という「愛」や「欲望」などの魔法がかけられた神器を持っているといわれています。この帯は身に着けることでアフロディーテの美しさを増幅させ、神々の心さえ支配することができました。
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また、アフロディーテは愛を操り、自身に対してだけでなく他の対象に対しても「恋」を発生させることができました。全知全能の「天空神ゼウス」でさえ、アフロディーテの影響から多くの女性に恋をしたとされています。
③アフロディーテの性格
アフロディーテは非常に気が強く、プライドが高かったとされています。ゼウスの妻「最高位の女神ヘラ」や、知恵と戦略を司る「知略の女神アテナ」とその美しさを競ったことにより「トロイア戦争」まで引き起こしたという逸話も存在しました。また、ギリシア神話に登場する美少年「アドニス」をめぐって冥府の神ハデスの妻「ペルセポネ」と争うなど、他の女神たちと揉める機会も多かったようです。
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愛を司る女神だったためか恋多き女神であることも知られており、「炎と鍛冶の神ヘパイストス」という夫がありながら、先述した「アドニス」や「軍神アレス」など多くの愛人が存在します。また、恋愛においては「ルックス」を重要視しており、愛人たちは美しい男性(男神)ばかりで、浮気した理由も夫のヘパイストスが醜かったからというものでした。アフロディーテは愛の女神でありながら男性の表面しか見ておらず、女性の敵も非常に多い女神だったのです。
④アフロディーテの誕生
アフロディーテの誕生には少し変わった逸話があります。そのきっかけは、宇宙の初代統率者でありゼウスの祖父あたる「天空神ウラノス」と、その息子「巨神族長クロノス」の争いでした。クロノスは不意打ちでウラノスを襲い、万物を切り裂く「アダマスの鎌」でウラノスの男性器を切り落としてしまいます。
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この男性器が海を漂い、発生した泡から誕生したのが「アフロディーテ」だといわれています。そのためアフロディーテは「泡の女神」という別名も持っています。ちなみにウラノスの男性器が切り取られた際には、他にも「復讐の女神エリニュス」や、後に神々とのあいだに大戦争を引き起こす「巨人族ギガース」も誕生したとされています。
⑤アフロディーテの家族
上記のようにアフロディーテは天空神ウラノス(正確にはその男性器に付着した泡)から産まれました。そのため、ウラノスを倒したクロノスとは兄妹であり、ゼウスの叔母にもあたります。
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しかし、アフロディーテはオリュンポス山を訪れた際にはその美しさからゼウスに気に入られ、彼の養子になっています。アフロディーテはゼウスにとって、叔母でもあり娘でもあるという複雑な関係ということですが、神々はその程度のことは気にも止めないようです。
⑥アフロディーテの夫
アフロディーテは鍛冶神ヘパイストスと結婚しています。しかし、最も美しい女神とされるアフロディーテに対して、夫であるヘパイストスは醜い姿をしていることで有名な神でした。一見すると美女と野獣にも見えるこの二人が結婚に至ったのにはある理由がありました。
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ヘパイストスは全知全能の神ゼウスと最高位の女神ヘラの息子として産まれました。しかし、その姿が美しくなかったため母ヘラは産まれたばかりのヘパイストスを海に捨ててしまいます。それでも生き延び、成長したヘパイストスはその実力から父や母が属する「オリュンポス十二神」に加えられます。しかし、母ヘラはヘパイストスを冷遇し続けました。そんな母に憤りを感じたヘパイストスは彼女に「黄金の椅子」を贈ります。その椅子はとても美しくヘラは瞬く間に心を奪われました。しかし、ヘラが腰を下ろした途端、椅子は拘束具と化し彼女の自由を奪ったのです。
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ヘパイストスは自由にして欲しければ自分を息子と認め、他の神々の前でそれを証明するように迫りました。ヘラはこれに応じると約束しましたが、ヘパイストスは母親を信じることができません。そこで、美しくヘラのお気に入りだった娘のアフロディーテと結婚させるように要求します。ヘパイストスは母の軽口を戒めるつもりでしたが、ヘラは自分が助かりたい一心でこの要求を受け入れてしまいます。こうしてアフロディーテはヘパイストスと結婚させられることになったのです。
⑦アフロディーテの愛人
ヘパイストスと強引に結婚させられることになったアフロディーテは、夫に心を開くことはありませんでした。美を司るアフロディーテはヘパイストスの醜い姿を嫌ったのです。母親と同じく妻にも冷遇されることになったヘパイストスですが、愚直な彼は妻の冷たい態度も単に機嫌が悪いだけとしか考えませんでした。そのため二人の関係は改善せず、夫婦生活は完全に冷え切ったものとなってしまったのです。愛を司るアフロディーテがそんな生活に耐えられるはずもありません。彼女は夫がいるにも関わらず多くの恋をすることになりました。中でも有名なのが軍神アレスとアドニスとの逸話です。
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軍神アレスはゼウスとヘラの子でありながら、血なまぐさい戦いを好み乱暴で粗野な性格だったため、他の神々から忌み嫌われる存在でした。しかし、アフロディーテはそんなアレスに恋をします。その理由はアレスが「最も美しい男神」だったからでした。アレスはその残虐性に似合わず非常に美しい顔をした青年神だったのです。愛と美の女神アフロディーテですが、愛人のアレスの影響からか戦争の場に姿を現すようになり、「戦の女神」とも呼ばれるようになりました。しかし、夫であるヘパイストスに浮気がバレてしまい、神々の前で恥をかかされた挙句に離婚することになります。アレスに至っては賠償責任を負わされました。
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アフロディーテは産まれたばかりの赤ん坊だった人間のアドニスにも一目惚れしています。彼女は幼いアドニスを木箱に入れてそのまま連れ帰ってしまいます。そして、その箱を冥府の神ハデスの妻で冥界の女王だったペルセポネに預けました。そして、箱の中身を決して見ないようにと頼んだのです。しかし、中身が気になったペルセポネが箱を開けると中にはとても美しい赤ん坊のアドニスが入っていました。そして、ペルセポネまでもがその赤ん坊に恋をしてしまったのです。
アドニスが少年になる頃、アフロディーテが迎えにやってきました。しかし、アドニスを返したくないペルセポネはアフロディーテと争いになり、遂には神々の裁判にまで発展しました。その結果、アドニスは一年のうち4か月をアフロディーテと過ごし、もう4か月はペルセポネと過ごすことになりました。そして、残りの4か月はアドニス自身の希望により、アフロディーテと過ごすことになったのです。
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これに激怒したのはペルセポネでした。ペルセポネはアフロディーテの愛人であるアレスに「アフロディーテはあなたよりも人間を選んだ」と告げ口しました。アレスは怒りのままに「イノシシ」に変身し、狩りをしていたアドニスを殺してしまいます。このときアドニス(一説にはアフロディーテ)が流した血から花が咲き、後に「アネモネ」と呼ばれるようになりました。
⑧アフロディーテとヴィーナス
アフロディーテはローマ神話に伝わる「美の女神ウェヌス(ヴィーナス)」と同一視されています。このため金星の英名には「ヴィーナス」の名が付けられており、ギリシアでは金星を「アフロディーテの星」と呼んでいます。また、ヨーロッパでは金星を「ウェヌス」と読んでいます。
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出典:wikipedia
いかがでしたか?恋に生きた美の女神アフロディーテについてご紹介しました。アフロディーテやペルセポネなどの神々であっても、女性は怒らせない方が賢明なようです。