ジュラ紀最強の捕食者「アロサウルス」。近年ではあまり話題に上がらなくなったアロサウルスですが、とても強力な生物であったことには変わりありません。
今回はアロサウルスの生態や身体能力、名前をめぐって起こった問題などをご紹介します。
合わせて読みたい関連記事
・最新のティラノサウルス!恐竜王者の全てとその魅力に迫る
・最新のスピノサウルス!超大型肉食恐竜の実態に迫る
・ヴェロキラプトルは空を飛べたのか?最新の姿とその生態に迫る
目次
アロサウルス
①アロサウルスとは?
アロサウルスは今から1億5500万~1億4500万年前のジュラ紀の地球に生息していた大型の肉食恐竜です。1877年にアメリカの古生物学者であるオスニエル・チャールズ・マーシュが発表して以来、ティラノサウルスと並んで古くから知られている有名な恐竜でもあります。
アロサウルスはジュラ紀を代表する大型の肉食恐竜であり、映画などでも取り上げられているため世界中に多くのファンが存在しています。近年では最大級の肉食恐竜であるスピノサウルスやギガノトサウルスに話題を奪われがちですが、まだまだ人気の高い恐竜です。
②アロサウルスの名前の由来は?
アロサウルスの名前には「異なるトカゲ」という意味があります。その由来は文字どおりアロサウルスの化石が他の恐竜と違った特徴を持っていたからでした。初めてアロサウルスの化石が発見された際には、そのあまりに奇妙な形から馬の蹄の化石だと勘違いされたほどでした。
画像:deskridge
幸いなことに優秀な研究者がこれを太古の地球に生息した巨大な爬虫類の尾の化石であることに気付きます。こうして恐竜アロサウルスは世界に知られるようになったのでした。
③アロサウルスの大きさは?
アロサウルスの平均的な大きさは全長9メートルほどだったといわれています。しかし、最大級の個体では12メートルを超えるものも存在しただろうと考えられており、これはティラノサウルスにも匹敵する巨大さでした。
画像:Kaek
しかし、頭骨の長さが1.5メートルもあったティラノサウルスに対して、アロサウルスの頭は1メートルもなかったことがわかっています。ティラノサウルスの頭は咬む力に特化して発達しており体長に比べて非常に大きいものだったため、アロサウルスの方がバランスの取れたスマートな体型だったと言えるかも知れません。
④アロサウルスの体重は?
アロサウルスの体重には諸説ありますが、およそ2トンほどだったとする意見が有力とされています。中には4トンを超える見解もありますが、体重が6トンに達したティラノサウルスに比べると細身の体格をしていました。アロサウルスは頭骨の小ささからもティラノサウルスのようにパワー重視の重量級タイプではなく、スピード重視の軽量級タイプだったと考えられています。
画像:c-compiler
⑤アロサウルスの走る速さは?
足跡などの化石からアロサウルスの走るスピードは時速60キロメートルを超えていたのではないかといわれています。アロサウルスはティラノサウルスなど他の大型肉食恐竜よりも軽量な体型を持つことで、巨体でありながら高速で走ることが可能でした。
画像:Mr–Jack
また、アロサウルスは特に脳が発達していたことがわかっており、それによりバランス感覚が優れていた点も高速での走行に役立っていたといわれています。
⑥アロサウルスの歯と鉤爪
アロサウルスは頭骨が小さくティラノサウルスのような強力な顎を持たなかった代わりに鋭い歯と大きな鉤爪を持っていました。高速で獲物に接近したアロサウルスは強靭な後肢の鉤爪で対象を力任せに押さえつけ、鋭い歯で咬み付くと生きたまま引き千切って食べていたと考えられています。
画像:ecury
また、アロサウルスの前肢はティラノサウルスなど白亜紀の肉食恐竜よりも退化しておらず、大きな爪を備えていたことから十分に強力な武器になり得ました。
⑦アロサウルスの嗅覚と聴覚
アロサウルスは脳が発達していたことにより、大型の肉食恐竜の中では特に優れた嗅覚と聴覚を持っていました。発達した嗅覚や聴覚は目の見えない夜間での狩りを可能とし、昼間でも視界の悪い場所では強力な武器となりました。
画像:houdao920
ジュラ紀に生息した多くの生物たちは場所や日夜問わずアロサウルスの脅威に怯えなければならなかったのです。
⑧アロサウルスは群れで狩りをしていた?
脳の発達により優れた身体能力を備えていたアロサウルスでしたが、高度な知能も備えていたのではないかといわれています。アロサウルスは待ち伏せによる奇襲や逃げ場の無い場所へ獲物を追い込んで捕食することができました。また、これらを単独ではなく群れで連携を取りながら行っていたのです。
画像:deskridge
近年ではティラノサウルスなど他の大型肉食恐竜も群れでの狩りや子育ての可能性を指摘されるようになりました。強力な肉食恐竜が連携を取りながら群れで襲ってくるのですから、標的にされた獲物の見た光景はとても恐ろしいものだったに違いありません。
⑨アロサウルスは狂暴な性質だった?
発見されるアロサウルスの化石には傷が付いているものが多くあることから、好戦的で生傷の絶えない獰猛な性質だったのではないかと考えられています。
画像:PaleoGuy
ジュラ紀に生息していたステゴサウルスなどは尻尾の先に長い棘を持つ危険な草食恐竜でしたが、アロサウルスならば攻撃を恐れずに襲い掛かっていたはずです。超大型の草食恐竜なども狂暴なアロサウルスの群れの前では餌食になるしかありませんでした。
⑩アロサウルスはアントロデムスのはずだった?
アロサウルスが正式に発見された1877年よりも以前の1873年に「アントロデムス」という肉食恐竜が発掘されていました。研究が進むにつれてこのアントロデムスがアロサウルスと同種の恐竜であることが明らかになったのです。
画像:BrianJMurphy
生物の命名には別の種だと思われていた生物が同種であると証明された場合、先に発見されていた種の名前に統一するというルールがありました。そのため、アロサウルスはアントロデムスという名前に統一され存在していなかった恐竜であるとされてしまったのです。しかし、アントロデムスの報告や論文には不備があまりにも多く、化石の発掘地や研究内容が曖昧過ぎたために正式には認められず、結局アロサウルスとして再度統一されたのでした。
⑪アロサウルスは最強の恐竜なのか?
生息していた時代や場所がそれぞれ違うため、どの肉食恐竜が最強かを決めることは容易ではありません。しかし、巨大な体や優れた身体能力と感覚器官を持ち、群れで行動するアロサウルスは地球史の中でも相当に強力な捕食者だったはずです。少なくともジュラ紀の陸上においてはアロサウルスが食物連鎖の頂点に君臨していたことは疑う余地がありません。
画像:ThornSpine,deskridge
出典:wikipedia
いかがでしたか?ジュラ紀最強の捕食者アロサウルスについてご紹介しました。優れた知能を持つ大型肉食恐竜アロサウルス。群れで襲い掛かる彼らの狩りは当時の生物たちを震え上がらせたに違いありません。