深海は宇宙よりも研究が進んでいないといわれる地球で最後の未知の領域です。ゆっくりではありますが深海を開拓することで深海に生息するいくつかの生物が発見されています。それらはグロテスクで奇妙な姿をしたものや意外とかわいいものまで様々です。
今回は深海魚や深海にする生物にスポットを当てその不思議な姿や生態をご紹介していきます。
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目次
深海魚
1.スターゲイザーフィッシュ
ワニギス亜目ミシマオコゼ科に属するスターゲイザーフィッシュは砂の中に潜り獲物を待ち伏せする深海魚です。その隠れる姿が非常に奇妙で「スターゲイザー(星を見上げる)」という名前が付けられました。頭が大きく、上向きの顎で頭上を通った魚を捕食します。
日本で捕獲された際にはカマボコの材料にされることもあるため、あなたも食したことがあるかも知れません。綺麗な名前とは裏腹に非常に恐ろしい顔つきをしていますね。
2.シーバタフライ
シーバタフライはカメガイの一種でクリオネなどに近い深海魚です。透けている貝殻の中から内臓が見えるグロテスクな生物ですが、貝殻から羽のようなヒレを出して泳ぐ姿がかわいいと人気が高い深海魚でもあります。透明な貝殻は予想に反して非常に頑丈で簡単に捕食されることはありません。それにしてもこの世の生物とは思えませんね。
3.キマエラ
キマエラはギンザメの仲間でギリシャ神話の怪物「キマイラ」からその名前を付けられた深海魚です。キマイラは幽霊や幻影のような意味があり、キマエラも名前に違わぬ奇妙な姿をしています。体長は1mほどで深海の海底を羽ばたくように泳ぎます。顔から飛び出した器官は雄にしか存在せず、交尾時に雌を抑えるのにしようすると考えらえています。
出典:wikipedia,melbourneaquarium
4.クダクラゲ
クダクラゲは複数の仲間と連結する奇妙な深海魚です。1個体は小さいクラゲですが群体になることで数十mもの大きさになり、ある意味すべての動物の中で最も大きい生物なのではないかとする見方もあるほどです。浅瀬に生息する種には猛毒を持つものもおり、海水浴客や漁師に被害を出すこともあるそうです。
5.オニボウズギス
オニボウズギスは1000mほどの深海に生息する深海魚です。口を大きく開くことができるのが特徴で、これにより自分より大きな獲物を無理矢理胃袋に詰め込んでしまいます。獲物に出会う機会が少ないことからこのような進化をしたと考えられています。しかし、自分のサイズに合っていない魚を飲み込むことで腹部が裂けてしまうこともあるそうです。
出典:wikipedia
6.ビーナスフライトラップアネモネ
ビーナスフライトラップアネモネは食虫植物のような捕食スタイルを持つことからこの名前が付けられました。自分の近くを通った深海魚を触手のような器官で捕食します。深海ではエネルギー消費を抑えるために待ち伏せをする生物が数多く存在しますが、ビーナスフライトラップアネモネはその代表格といえますね。
出典:wikipedia,NOAA Photo Library
7.オニイソメ
オニイソメは深海の海底に生息する深海生物です。普段は海底に穴を掘り身を隠していますが、深海魚が頭上を通りかかると鋏のような顎で襲い掛かります。オニイソメは多毛類に属し虫のような姿をしていますが体長は3mにまで成長します。栄養の乏しい深海でこのサイズにまで成長することから非常に強力な捕食者であることがわかります。それにしてもグロテスクな姿ですね。
8.ピンポンツリースポンジ
ピンポンツリースポンジは深海に生息する海綿動物の仲間です。その不思議な姿から「ピンポン玉の木」という意味の名前を付けられました。深海で妖しく揺れるピンポンツリースポンジは幻想的で「深海のシャンデリア」ともいわれています。ピンポン玉に例えらえる球形の器官でプランクトンを捕食しています。
出典:ourbreathingplanet,realmonstrosities
9.スクイッドワーム
スクイッドワームは3000mの深い海に生息する深海生物です。体長は1~3cmほどの小型の生物ですが非常にグロテスクな姿をしています。2010年に新種認定された比較的新しい深海生物で、詳しい生態は明らかになっていません。宇宙生物といわれても信じてしまいそうな姿をしていますね。
10.ダンボオクトパス
ダンボオクトパスはその名のとおりゾウのような耳を持つタコの仲間です。かわいい深海魚として深海ファンのあいだでは人気の生物ですが、最大で2m近くにまで成長することはあまり知られていません。ゾウの耳に例えられるヒレを器用に使って深海を泳ぎます。
出典:wikipedia
11.ホウライエソ
ホウライエソは深さ2500mほどの深海に生息する深海魚です。「深海のギャング」とも呼ばれ、大きく開く顎には鋭い歯が並んでいます。この強力な口は狩りの機会が少ない深海で確実に獲物を仕留めるために進化しました。
しかし、飲み込むことができないサイズの魚を捕らえてしまった場合には口から吐き出すことができずに餓死することもあるようです。また、顔に似合わず下腹部が光ります。
出典:wikipedia,sites.biology.duke
12.ノコギリザメ
ノコギリザメは深い海の海底を好む深海魚です。特徴的なそのノコギリには鋭い棘が並び、これを振り回すことで餌となる魚に傷を負わせることができます。大きいものでは170cmほどに成長しますが早く泳ぐことはできません。
13.ミズウオ
ミズウオは1500mの深海に生息する深海魚です。深海魚の中でも最大級に成長する種のひとつで大きいものは2.5mにまで成長します。鋭く尖った口が特徴で生き物なら何でも捕食する非常に獰猛な魚です。
大きな口で大きな獲物にも咬み付きますが、それが原因で死んでしまう事例も報告されています。死ぬ危険を冒してでも巨大な獲物を捕食する魚が多いことから、深海での狩りの機会の貴重さがよくわかりますね。
14.デメニギス
デメニギスは透明な頭と筒状の目が特徴的な深海魚です。水深800mほどの深海に生息しており、日本海沖でも確認されています。
デメニギスはその大きな目で少しの光でも感知でき、普段は目を真上に向けています。これにより他の魚には感知できないレベルのわずかな影を見つけ獲物を捕食しているのではないかといわれています。それにしても不思議な魚ですね。
15.ハプロフリュネー・モリス
ハプロフリュネー・モリスはオニアンコウ科に属する深海魚です。しかし、その姿は私たちがよく知るアンコウとは違って透明です。この奇妙な魚は雄の個体数が雌に比べ30倍も存在し、深海で遭遇すると体の小さい雄が雌の身体に咬み付きます。雄はそのまま雌の身体に同化することで生殖を果たします。ハプロフリュネー・モリスはその姿だけではなく生態に関しても奇妙な深海魚だといえます。
出典:wikipedia,fishesofaustralia
16.ピンクシーファンタジア
ピンク色の透けたクラゲのように見えるピンクシーファンタジアですが実はナマコの仲間です。深海魚ファンにも人気の生物ではありますが、よく見ると消化器官が丸見えのグロテスクな姿をしています。深海では周りの風景に溶け込みやすいため透明な体を持っている生物が多いです。
17.イバラカンザシ
イバラカンザシは「クリスマスツリー・ワーム」の異名を持つ深海の多毛類です。その名のとおり体に植物のような器官が特徴です。この期間を使って水中に漂う生物を捕食しています。比較的浅瀬に生息している仲間も存在し、日本では沖縄でも確認されています。
18.フサアンコウ
フサアンコウは水深2000mまでの深い海に生息する深海魚です。泳ぎまわって獲物を捕獲するのではなく海底近くで待ち伏せするスタイルは他のアンコウとは変わりませんが、それ以外の詳しい生態はわかっていません。カラフルな種が多くフグのような姿をしているものも存在します。
19.ヤマトシビレエイ
ヤマトシビレエイは1000mの深海に生息する深海魚です。「シビレエイ」の名前のとおり発電能力があり、100ボルト程度の電気を発することができます。最大で1mほどに成長します。
20.クリオネ
ハダカカメガイの仲間クリオネはそのかわいらしさから「流氷の天使」とも呼ばれています。このクリオネも水深600mまでに侵入可能な深海魚です。かわいいイメージとは裏腹に餌を捕食する際には頭から触手を剥き出すことから悪魔と呼ばれることもあります。
21.オニハダカ
オニハダカは地球上で最も成功した生物種のひとつで脊椎動物としての個体数は最大だといわれています。このオニハダカも200~2000mの深海に適応した深海魚です。世界の海に広く分布しており、大きさは最大でも7cmほどの小型の魚です。個体数が多いため深海の生態系においても重要な役割を持っていると考えられており多くの深海魚の栄養源になっていると予想されます。世界最大の個体数を持つ生物が深海にいるとは驚きですね。
22.ミツクリザメ
ミツクリザメは世界各地の深海で確認されている深海魚です。最大で6mにまで成長する巨大魚で大きく突き出した頭の突起が特徴です。
獲物を捕食する際には顎が長く飛び出す造りになっており餌の少ない深海での狩りの成功率を上げるために進化したといわれています。こんな顔で6mもある魚に深海で出会ったらと想像するととても怖いですね。
出典:wikipedia
23.ブロブフィッシュ
奇妙な深海魚の代表格ブロブフィッシュです。その不思議な姿はキモかわいいと多くのメディアでも取り上げられました。ブロブフィッシュは海外では底引き網などにかかることも多く、研究者たちからは絶滅を心配されています。
24.サキャスティック・フリンジヘッド
サキャスティック・フリンジヘッドは「エイリアン・フィッシュ」の異名を持つ深海魚です。その名前の由来は獲物を捕獲する際に大きく開く口で、その大きさは自身の体長にも匹敵します。
出典:wikipedia,flamboyantlyfishyfotos
サキャスティック・フリンジヘッドも他の深海魚と同じく待ち伏せを得意としており、近くを通った魚をその大きな口で丸のみにしてしまいます。
25.フラミンゴ・タン・スネイル
フラミンゴ・タン・スネイルは貝の仲間の深海生物です。貝といっても貝殻は持たず、その美しい模様が特徴の生物です。フラミンゴ・タン(舌)に例えられるとおり赤やオレンジ色の舌のような形をしています。
26.アンフィポッド
アンフィポッドは深海に生息する小型の甲殻類です。活発に泳ぎまわることができますが目は退化しています。中には20cm近くにまで成長するものもおり、非常にグロテスクな姿に見えます。まさに深海生物といった風貌ですね。
27.スケールワーム
この地球外生命体を思わせるグロテスクな姿をした深海生物はスケールワームです。体長は1~3cmほどですが熱水が噴き出す海底火山付近の噴出孔周辺に生息しています。深海は地上よりも宇宙に近いといわれているのでエイリアンのような生物がいても不思議ではないのかも知れませんね。
28.オウムガイ
オウムガイは原始的な軟体動物で比較的浅めの深海に生息している深海魚です。恐竜が暮らして頃の祖先からあまり進化していないため「生きた化石」といわれています。オウムガイの仲間は深海に適応することで非常に長い間生き続けることができました。堅い殻を持つため深海には強そうですが、900m以上潜ると水圧に耐えきれずに潰れてしまいます。
29.ウミグモ
ウミグモはその名のとおりクモのような姿をした深海生物です。体が小さすぎるため足に消化器官や生殖器が収納されています。決してかわいいとは言えない姿に加え深海生物の中では珍しく体長30cmにまで成長します。
30.ヒノオビクラゲ
ヒノオビクラゲは小さなクラゲが集まって形成される群体で2000mの深海に生息しています。その姿は幻想的でまるでいくつもの鐘が連なったような姿をしています。暗い海を泳ぐ姿を見ればファンタジー世界に迷い込んだような錯覚さえ覚えるに違いありません。
31.ハナヒゲウツボ
ハナヒゲウツボはその名のとおり鼻からヒゲが生えているような奇妙な顔つきをした深海魚です。成長とともに体色が変化したり肛門より後ろに生殖器があるなど他の動物にはあまり見られない特徴を有しています。また、性別を変化させることもできる非常に不思議な魚です。
32.ラブカ
ラブカは非常に原始的なサメの仲間でその見た目から「ウナギザメ」の異名を持つ深海魚です。身長は2mにまで成長し水中でヘビのように獲物に食らい付きます。ラブカに限らず古代魚は深海に適応することで地上での大規模な環境変化の影響を受けずに今日まで生き延びることができました。発見されていないだけで数多くの古代魚が深海に生息していることが予想されています。
33.クマムシ
不死身生物として名高いクマムシも深海に生息する生物のひとつです。8本の脚を持つイモムシのような姿をしたクマムシは深海に限らず熱帯から寒冷地方、海水から淡水域、陸上に至るまで地球上のほとんどの場所に生息しています。
体長は大きくても1.7mmほどですが、体組織に含まれる水分が3%以下になっても摂氏150℃から絶対零度に晒されようとも決して死ぬことはありません。強度の放射能にも耐えることができます。クマムシはその耐性の強さから一度死んでから蘇ることが可能な生物なのではないかといわれていた時代もありましたが、今ではクリプトビオシスという仮死状態になるだけで死んでいないことがわかっています。
34.コンゴウアナゴ
エイリアンの幼体のような姿をしたこのコンゴウアナゴは水深200m以下の深海に生息する深海魚です。コンゴウアナゴは腐肉食性の魚でクジラなどの大型海生生物の死体を餌にし、その体内にまで潜り込むことで知られています。しかし、漁獲された魚の体内からも見つかっていることから生きた獲物にも喰いついていることがわかっています。
出典:wikipedia,NOAA Ocean Explorer
35.ポンペイワーム
ポンペイワームは熱水が噴出するブラックスモーカーと呼ばれる過酷な環境に生息する深海生物です。このポンペイワームは80℃近くの水温にも適応しており、クマムシのクリプトビオシスを除けば最も暑さに強い生物だといわれています。深海に住むワームの仲間はとにかくグロテスクなものが多いですね。
出典:wikipedia
いかがでしたか?深海からは毎年数えきれないほどの新種が確認されています。今後も私たちを驚かせる生物が発見されることは間違いないでしょう。地球にはまだまだ多くの謎が残されているのです。