童話などに登場することから悪者のイメージが定着している肉食動物「オオカミ」。しかし、私たちはオオカミについてあまり多くを知りません。
今回はオオカミの種類や生態、絶滅種のクローン計画などをご紹介します。
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目次
オオカミ
オオカミとは
オオカミとは、イヌ科に属する肉食の哺乳類です。これまで数多くの亜種が存在しており、地球上でも最も成功した肉食動物のひとつといえるでしょう。
オオカミはイヌ科の仲間の中では比較的体が大きく、攻撃性が高いという特徴があります。その半面、高度な社会性を有し、群れの仲間とは強い絆で結ばれています。
画像:pixabay
ちなみに姿が似ているジャッカルやコヨーテはオオカミと交配が可能なため、完全な別種ではなく亜種に位置付けられています。
オオカミと犬の違い
オオカミと犬の姿は非常によく似ています。現在では犬はオオカミの亜種であるという考え方が一般的であり、人間に飼われた古代のオオカミが家畜として進化していったものだと考えられています。
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つまり、オオカミと犬の祖先は同じですが現在は別の種であるということです。よく誤解されますが、家畜か野生かだけでオオカミと犬が区別されているわけではありません。
オオカミの種類
オオカミの仲間は世界中に生息しています。ここでは特に有名なオオカミの亜種をご紹介します。
①ハイイロオオカミ
ハイイロオオカミはユーラシア大陸とアメリカ大陸に広く生息するオオカミです。一般的にいう「オオカミ」とは、このハイイロオオカミのことを指しています。
画像:pixabay
ハイイロオオカミは現存する最大のイヌ科動物であり、全長がおよそ2メートル、体重が90キログラムを超える個体も見つかっています。
②ホッキョクオオカミ
ホッキョクオオカミは北極圏に生息するオオカミの仲間です。全長は110センチメートルほどであり、体重もオスで80キログラム、メスで45キログラム程度まで成長します。
画像:Nanorsuaq
ホッキョクオオカミはホッキョクグマのように真っ白い体毛をしているのが特徴で、とても美しいオオカミです。
また、オオカミの仲間の中でも最も穏やかな性格をしているといわれており、人懐っこく人間に近付いてくることもあります。
③メキシコオオカミ
メキシコオオカミはアメリカやメキシコに生息する小型のオオカミです。アメリカに生息するものの中では最も小さく、体重は36キログラムほどまでにしか成長しません。
しかし、全長は160センチメートルを超えるため、ホッキョクオオカミに比べれば大きく見えます。
画像:Jim Clark
メキシコオオカミは現在絶滅の危機に瀕しており、2010年には野生の個体は50程度しか確認されませんでした。そのためアメリカではメキシコオオカミの保護活動が盛んであり、2006年時点では300頭を超えるが個体が飼育されています。
④アメリカアカオオカミ
アメリカアカオオカミはアメリカに生息するオオカミです。全長は130センチメートルほどですが体重は40キログラム程度しかなく、キツネのようにシャープなフォルムをしています。
画像:Tim Ross
アメリカアカオオカミは家畜を襲うことから危険な害獣として扱われ、積極的に狩猟されてきた過去があります。そのため1989年には全ての野生個体が絶滅してしまいました。
しかし、飼育個体を積極的に野生に返す試みが続けられ、現在では再び野生のアメリカアカオオカミを見ることができるようになりました。
⑤イタリアオオカミ
イタリアオオカミはアルプス山脈に生息するオオカミです。アメリカアカオオカミと同様にほっそりとした体つきをしており、全長140センチメートルに対して体重は40キログラムほどしかありません。
イタリアオオカミも他のオオカミたちと同じように絶滅の危機に瀕しています。オオカミは人間や家畜にとって危険な動物であると認識されやすいため、狩りの対象になりやすいのです。
日本に生息していたニホンオオカミ
ニホンオオカミはかつて日本の本州や四国などに広く生息していた日本のオオカミです。1905年に奈良県で捕獲された個体を最後に目撃されることがなくなり、現在では絶滅したと考えられています。
ニホンオオカミは全長140センチメートル、体重は20キログラムにも満たない小型のオオカミでした。
画像:Momotarou2012
ニホンオオカミは近年でも目撃情報があることから、山奥でひっそりと生き延びているのではないかとも噂されています。しかし、2017年現在でも生存確認はされていません。
最近ではニホンオオカミが絶滅したことにより猿や猪が大繁殖し、山から下りてきて被害を出す問題が深刻化しています。そのためニホンオオカミをクローンとして蘇らせようという計画まで持ち上がっています。
オオカミの最大種ダイアウルフ
今から1万年ほど前までのアメリカ大陸には、ダイアウルフと呼ばれるオオカミの最大種が生息していました。ダイアウルフの大きさは平均的な個体でも全長が160センチメートルを超えており、小さめのライオンほどだったことがわかっています。
画像:nps
また、現生のオオカミと比べるとガッチリした体付きをしており、当時の地球に生息していた大型の草食動物を狩ることに適していました。
しかし、ダイアウルフはマンモスやサーベルタイガーなど、他の大型哺乳類と時を同じくして地上から姿を消してしまいました。
オオカミの生態
私たちはオオカミのことをあまり多く知りません。オオカミとは一体どのような生態を持つ動物なのでしょうか?
ここでは一般的なオオカミの生態についてご紹介します。
①オオカミは序列社会の中で暮らしている
オオカミの群れは親であるつがいのオスとメスを頂点に序列社会が形成されています。何らかの行動やタイミングを決定するのは最上位の二匹であり、基本的に他のメンバーはその決定に従うことになります。
しかし、この序列は絶対的なものではなく、常に確認されながら変更されていきます。そのため必ずしも親のつがいが最上位に位置しているわけではありません。
オオカミの群れは10匹前後のオスとメスで構成されていますが、成長したオスは群れを離れて単独で行動するようになります。逆にメスは成長しても同じ群れのメンバーとして定着します。
②オオカミの序列は性格や態度で決まる
オオカミの群れの序列は本格的な戦闘ではなく、形式的な戦いや威嚇行動によって決定されます。そのためオオカミは体格や力ではなく、性格や態度によって群れの序列を決めていると考えられています。
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これは肉食の野生動物の中では比較的珍しいケースであり、オオカミの群れの特徴でもあります。しかし、このような決め方のため、オオカミの群れの中では最上位が頻繁に入れ替わります。
③オオカミは家族で連携して狩りをする
オオカミは狩りをする際、家族で連携を取りながら獲物を仕留めることがわかっています。狩りでの行動は上位の子ども、下位の子ども、親のそれぞれによって役割が違います。
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先ずは上位の子どもが獲物の前に立ちはだかり獲物を混乱させます。次に下位の子どもが獲物の後ろに並び逃げ場を無くします。最後に親が獲物の隙をついて襲い掛かり止めを刺すのです。
オオカミは鮮やかな連携で獲物を仕留めますが、群れから離れたオスなどは単独で小動物などを狩ることもあります。
④オオカミは声色を変えて別人を装う
有名なオオカミの遠吠えは仲間と交信するための重要な手段です。また、この遠吠えは自分たちとは別のオオカミの群れにテリトリーを知らせる威嚇行動にもなっています。
ところが遠吠えの数から群れの規模を知られるおそれがあり、少数の群れにとっては逆に自分たちを危険に晒してしまう可能性あります。
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そこでオオカミたちは声色を変えながら遠吠えをすることで、群れの規模を知られないように工夫をします。声色を変えたとしても仲間の声はちゃんと聞き分けるというのですから大したものです。
⑤オオカミはボディランゲージも多様する
オオカミはコミュニケーションを取る際、遠吠えだけでなくボディランゲージも多用します。
怒っているオオカミは耳をピンと立て、唇をめくって歯をむき出しにします。また、嬉しいときには尻尾を振って舌を口からだらんと垂らします。
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オオカミのボディランゲージは数多く存在しており、それだけ仲間同士でのコミュニケーションを重視する社会性の高い動物であることがわかります。
これらのボディランゲージはペットとして飼育されている犬にも引き継がれており、同様の行動を見ることができます。
⑥オオカミのつがいは浮気をしない
意外かも知れませんがオオカミは基本的に特定の異性としかパートナーになりません。そのため一度夫婦になったオオカミは浮気することなく一生同じ相手と連れ添います。
これはオオカミが非常に社会性の高い動物であることを示しています。
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基本的に家族で群れを構成するオオカミにとっては、特定のパートナーと絆を深めていくことの方が生存に適していたのでしょう。
パートナーが死んだ場合には他のパートナーを探すオオカミもいるようですが、新しいパートナーを作ろうとしない個体も多いそうです。
オオカミはペットにできる?
オオカミをペットして飼うことはできるのでしょうか?現在、日本のオオカミは絶滅してしまっているため、オオカミを飼いたいなら海外から輸入するしかありません。
しかし、ほとんどの種が絶滅危惧種であるオオカミの輸入は厳しく禁止されています。そのため、日本でオオカミを入手することは不可能といっても過言ではありません。
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しかし、オオカミ自体の飼育は禁止されていないため、仮にオオカミを入手することさえできればペットにすることはできるということになります。
また、オオカミと犬のハーフである「狼犬」はペットショップでも購入が可能です。
しかし、飼育するためには30メートル四方の敷地を用意する必要があり、危険な動物であるため軽々しい気持ちで飼うことはできないでしょう。
オオカミのペットは自己責任で!
出典参考:wikipedia,wolfcountry
画像:pixabay
いかがでしたか?イヌ科最大の肉食動物オオカミについてご紹介しました。果たしてニホンオオカミが復活する日はくるのでしょうか?
姿は犬に似ていても彼らは全く別の動物だということを肝に命じておかなければなりません。