死海周辺で発見される最古の聖書写本「死海文書」。この死海文書には旧約聖書にはない予言が記述されているといいます。
今回は死海文書について発見の経緯とその内容、旧約聖書には無い奇妙な予言などをご紹介します。
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目次
死海文書
死海文書とは?
死海文書とは、アラビア半島北西に位置する湖「死海(しかい)」の周辺から発見される古書の総称です。旧約聖書など聖書に関連する記述が施されており、これまで発見された死海文書の数はなんと900を超えています。
画像:Israel Museum
死海文書は発見される数の多さやその貴重さから考古学における「二十世紀最大の発見」ともいわれています。
死海文書はどのように発見されたのか?
死海文書は1946年に現地の羊飼いムハンマド・エッ・ディーブらによって発見されました。彼らは「ヒベルト・クムラン」と呼ばれる遺跡近くの洞窟の中に古びた壺が隠されているのを見つけます。その壺の中身を確認したところ、後に世界を騒がせることになる最初の死海文書が入っていたのです。
画像:Abraham Meir Habermann
死海文書は最初シリア正教会の大主教アタナシウス・イェシュア・サミュエルに約100ドルで買い取られましたが、その後も次々に持ち主を変えています。1954年にはイスラエルの考古学者イガエル・ヤディンによっておよそ200万ドルもの大金で購入されていますが、現在はエルサレムにあるイスラエル博物館に保存されています。
死海文書はいつ頃書かれたのか?
死海文書に使われている羊皮紙を年代測定した結果、紀元前250年から紀元70年のあいだに書かれたものであることがわかっています。つまり死海文書は2000年近くものあいだ消失せずに保存されていたことになります。
画像:Israel Museum
これは死海文書が環境変化に乏しい洞窟内に保存されていたことが原因であると考えられています。死海文書が洞窟以外の場所に隠されていたとしたならば、2000年の時を超えて私たちの目の前に現れることはなかったに違いありません。
死海文書と洞窟の関係とは?
これまで発見された死海文書は基本的に死海周辺に位置する洞窟の中から発見されています。死海周辺には100を超える洞窟が存在していますが、死海文書が発見された洞窟はその内の11洞だけです。
画像:Library of Congress
今から1950年ほど前の現地ではユダヤ人同士の激しい戦争が行われており、この戦いから死海文書を守るために安全な洞窟に隠されたのではないかと考えられています。
死海文書は誰によって書かれたのか?
死海文書が誰によって書かれたかについては諸説ありますが、現在ではユダヤ教のグループ「エッセネ派」のメンバーが書いたとするのが一般的です。エッセネ派はさらにいくつかのグループに分かれていましたが、その中のクムラン教団という団体が死海文書を作成したのではないかといわれています。
画像:William Whiston
死海文書に記述されている宗教観の多くはエッセネ派のものと酷似しており、当時の死海周辺にはエッセネ派のグループが存在したという記録が残っています。
また、クムラン教団に縁のあるヒルベト・クムラン遺跡には一切の古書が発見されていないにも関わらず、インクを入れていたとみられる壺も発見されています。
これらのことからクムラン教団が死海文書を作成し、洞窟に隠したのだと考えられるようになったのです。
死海文書の解読が遅れた理由は?
死海文書は現在ではすでに存在しない古代ヘブライ語で記述されていました。また、比較的保存状態が良いとはいえ、2000年近く前の古書であるため箇所によっては損傷が激しく、肉眼での解析も困難を極めたのです。
画像:National Library of Israel
しかし、赤外線を用いた特殊なカメラを使用することで少しずつですが解析が進み、2009年にはそのほとんどが解読されるに至りました。死海文書は現在デジタル化して公開されているため、世界中の誰でも読むことが可能になっています。
気になる死海文書の内容は?
死海文書の主な内容はユダヤ教の聖書(旧約聖書)、聖書の外典と偽典、教団文書の3つでした。これにより死海文書はそれまで知られていた物よりも1000年近く時代を遡る「最古の聖書写本」であることが判明したのです。
画像:pixabay
また、後の世に伝わっている旧約聖書は死海文書の時代からほとんど編集されずに引き継がれていることもわかっています。
それにも関わらず死海文書には後世に伝わっていない謎の記述も存在しており、これがキリスト教の新たな真実を知る鍵になるのではないかと期待されています。
死海文書には予言が記されている?
死海文書には旧約聖書に記されていない予言が存在しています。そのためこの「失われた予言」はオカルト界隈で都市伝説と化し、死海文書の人気を支える理由にもなっています。
ここでは死海文書に記されているとされる予言の中から特に有名なものをご紹介します。
①イスラエルの破滅
死海文書には「イスラエルが国家として立ち上がるも70年にわたって長い混乱に見舞われる」という予言が存在します。さらにその混乱の最後には破滅が待っているとされています。
画像:pixabay
イスラエルは1948年に建国されて以降、様々な問題を抱えてきました。イスラエル国における中東問題などを考えれば、この予言が当たっているようにも感じられます。
そして、予言にある70年後の節目の年は来年の2018年に当たります。死海文書による予言のとおりイスラエル国は破滅することになるのでしょうか?
②光と闇の最終戦争
死海文書の中には「光の子と闇の子のあいだに最後の戦いが生じ世界が崩壊する」という予言も存在します。その内容は以下のようなものです。
神に寄り添う者には栄光が訪れ、サタンに寄り添う者には絶え間ない破壊が訪れる
光の子も闇の子も天使と共に戦うが、神は光の子に微笑むだろう
画像:pixabay
これらの予言は近年勃発が懸念される核戦争に対する予言なのではないかとして、オカルト界隈で騒がれているようです。果たして核戦争は起こってしまうのでしょうか?
③日本人メシアの誕生
先述した光と闇の戦争において死海文書には「光と闇の両軍にそれぞれのメシア(救世主)が誕生する」という予言も存在します。そして、このメシアの一人が日本人から誕生するのではないかという噂があるのです。
画像:pixabay
日本語の語源はヘブライ語であるという研究結果があることから、日本人とユダヤ人は祖先が同じであると考えられています。また、死海文書には「メシアは聖書を知らない東の国から現れる」という記述があり、聖書の影響が少ない日本はこれに一致します。
果たして本当に日本からメシアが誕生するのでしょうか?そして、日本は光と闇の戦争においてどのような関わり方をすることになるのでしょうか?
死海文書の謎とは?
死海文書は2000年の時を経ても現在にその原型を留めており、その防腐処理は現在でも謎とされています。環境変化に乏しい洞窟に隠されていたことを考えても、これだけ保存状態が良いことは驚異的だからです。
画像:Bantosh
最初に死海文書を買い取ったシリア正教会の大主教アタナシウスは、この古書に施された防腐処理に疑問を持ちました。それは彼が知っているどの方法にも該当しなかったからです。アタナシウスが死海文書の切れ端を燃やすと、嗅いだことのない奇妙な臭いが立ち込めたといいます。
死海文書の防腐処理については解読の段階でも調査されましたが、最新の科学調査を行なっても結局謎のままでした。2000年前の人々は私たちの知らない独自の防腐処理技術を持っていたのでしょうか?
出典参考:wikipedia
画像:pixabay
いかがでしたか?旧約聖書にない予言が残されている死海文書についてご紹介しました。これらの聖書は何を根拠に創られたものなのでしょうか?また、どうしてこれほどまで長く語り継がれているのでしょうか?地球にはまだまだロマンが溢れています。