かつて地球に生息していた大型哺乳類「マンモス」。史上最大級の体格を誇ったマンモスはどうして絶滅してしまったのでしょうか?
今回はマンモスの生態と絶滅の理由、順調に進んでいるクローン研究などをご紹介します。
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目次
マンモス
①マンモスとは?
マンモスは今から約400万~1万年前の地球に生息していた大型の哺乳類です。体を長い毛で覆われたゾウのような姿をしており、現在の陸上最大動物であるアフリカゾウを超える巨体を持つものから小さいものまで様々な種類のマンモスが存在していました。
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人類と同じ時代を生きてきたこともあり、古生物に詳しくない人にも知られている人気のある絶滅動物です。日本でも北海道や近海で化石が見つかっています。
②マンモスの名前の由来は?
マンモスという名前はシベリア地方で「地中の獣」を表す「マンムート」に由来して付けられました。元々は土竜(モグラ)を意味する言葉でしたが、出土したマンモスの化石を見た当時の人々が地中に暮らす巨大な怪物を想像したのです。また、モンゴル系民族の言葉で「地下の怪物」を意味する「ママントゥ」に由来したという説も存在しています。
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③マンモスの大きさは?
世界で最も有名なウーリーマンモス(ケナガマンモス)の大きさは体長5.5メートル、体高3.5メートルほどでした。これは現生のアフリカゾウと同じか少し小さいくらいです。これに対してウーリーマンモスの祖先とされるステップマンモスは体高が4.5メートルを超え、アフリカゾウよりも巨大な体を持っていました。
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中国で発見された松花江マンモスは最大のマンモスだといわれています。松花江マンモスの体長は牙を含めると9.1メートル、体高は5.1メートルにも達しました。骨盤の幅が2.5メートルもあり、横幅も大きな動物であったことがわかっています。史上最大の哺乳類といわれているパラケラテリウムでさえ体長は8.8メートルほどだったため、牙を含めてしまえばこの松花江マンモスが最大の陸生生物だったということになります。
④マンモスの体重は?
最大のマンモスである松花江マンモスの体重は20トンに達したと考えられています。現生最大の陸生生物であるアフリカゾウでさえ体重は10トンほどまでしか成長しないといわれています。
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マンモスが生息していた時代にはサーベルタイガーなどの強力な肉食獣も生息していましたが、これだけの巨体であれば健康な個体は狩りの対象にすらならなかったでしょう。
⑤マンモスの牙
マンモスは非常に大きく長い牙を持っていました。この牙は種によっては5.2メートルを超えており、重さも200キログラム近くありました。太さは根元の部分で70センチメートルもあったというのですから驚きです。
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マンモスの牙は現生のゾウと同様に木の皮を削ったり、オス同士の戦いに使われたのではないかといわれています。肉食獣に襲われた際にも牙は強力な武器になりました。
⑥マンモスの体毛
寒冷地帯に生息していたマンモスの体は長い体毛に覆われていました。この体毛によってマンモスは厳しい寒さの中でも体温を一定に保つことができたのです。
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マンモスは寒冷地帯に生息していたため、その毛や皮膚などが冷凍された状態で見つかることあります。ちなみにマンモスでありながら長い体毛を持たないコロンビアマンモスという種も存在していました。
⑦マンモスは巨人だと思われていた?
マンモスが太古の地球に生息したゾウの近縁種だということがわかるまでは、その化石は巨人のものであるとされていました。15世紀にはマンモスの化石が公式に「巨人の化石」としてウィーンのシュテファン大聖堂に展示されていたそうです。
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しかし、フランスの動物学者ジョルジュ・キュヴィエがこれらの化石を調査し、現生のものとは違う独自の進化を果たしたゾウの化石であると発表したのです。ジョルジュはこれらを「マンモス」と名付け、古生物学界にその名を刻むことになりました。
⑧マンモスはいつ誕生した?
最初のマンモスは今から500万年ほど前に誕生したと考えられています。マンモスは現在のアジアゾウやインドゾウと共通の祖先から派生した動物です。それらの動物が大陸を北上していく過程でマンモスとして種を増やしていったといわれています。
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⑨マンモスはゾウの祖先ではない?
現生のゾウに似た姿からマンモスはゾウの祖先だとイメージされることがあります。確かにマンモスはゾウの近縁種であり、体毛に覆われてはいるものの非常に似た姿をしています。
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しかし、現生のゾウの直接の祖先はマンモスではありません。一時は大きな体と寒冷地帯への適応により繁栄を極めたマンモスたちですが、その全ては絶滅することになりました。
⑩マンモスの絶滅の理由は?
今から約4万~数千年前頃にかけて多くの大型哺乳類が絶滅してしまいました。そして、マンモスもその例に漏れず同じく地球上から姿を消してしまったのです。マンモスの絶滅の原因とされているのが氷河期の終焉による植物の変化です。およそ1万年ほど前に氷河期が終わり、地球の平均気温は10度近く上昇しました。これによりマンモスが食料としていた寒冷地帯の植物が激減したのです。
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また、ヒトがマンモスを狩猟するようになったこともマンモスの数を減らす原因になりました。マンモスの骨や皮で作られた住居の跡が発見されていることから、当時の人々にとってマンモスは食料にも家具にもなる絶好の獲物だったのです。それまで捕食される機会が少なく繁殖能力が低かったマンモスにとってヒトは思いもよらない天敵になったのです。
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その他にも発見されるマンモスの化石の多くから病気の痕跡が見受けられることから、種にとって致命的な伝染病が発生したのではないかともいわれています。
⑪マンモスの生き残りは存在する?
氷河期の終焉によって絶滅してしまったとされているマンモスですが、これまでにいくつもの発見報告が存在します。紀元前1700頃、シベリア沖にあるウランゲリという島でマンモスが狩猟されたという記録が残っていました。狩猟されたマンモスは化石で発見されるものよりも小型化しており、環境に適応して生き残っていたものではないかといわれています。
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近年になってもマンモスはその姿を目撃されています。1580年、遠征に行く途中の騎士たちが毛の生えたゾウを目撃しました。1889年にはアラスカで体長9メートルにもなる大型のマンモスが射殺されたという記録されています。射殺されたマンモスは牙が6本も生えていました。その他にも1920年にシベリアで猟師が巨大な糞と巨大な牙を持つ赤毛のマンモスを目撃しています。目撃されたこれら生物は本当にマンモスの生き残りだったのでしょうか?
⑫永久凍土から見つかる氷漬けのマンモスとは?
1799年にシベリアの永久凍土で氷漬けのマンモスが見つかったことを皮切りに、冷凍されたマンモスが次々に発見されるようになりました。冷凍状態にあるマンモスは体毛や肉だけでなく、内臓や血液までもが残されている状態でした。これらの発見によりマンモスの研究は急激に進むことになります。
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冷凍マンモスはその死因を解析することにより、生きていたときの状態やその暮らしぶりまでを詳しく知ることができました。2007年にはシベリアでほとんど無傷の冷凍マンモスが見つかり、「リューバ」という名前が付けられました。リューバは生後1歳ほどの幼体で、胃の中からは母乳まで採取することができたといいます。
⑬マンモスをクローンで復活させる計画がある?
氷漬けのマンモスからはDNAが採取できるため、これを使ってマンモスを現代に蘇らせる研究が始まっています。この研究は採取されたDNAから細胞の核を取り出し、現生のゾウの卵細胞と融合させるというものです。これが成功すれば現生のゾウの母親からマンモスのクローンを誕生させることが可能になります。
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マンモスクローンの研究は現在ロシアと韓国の共同チームが取り組んでおり、プロジェクトは順調に進行しているといいます。近い将来生きたマンモスを見ることができるようになるかも知れません。映画ジュラシックパークの世界が現実となるのです。
いかがでしたか?絶滅した巨大哺乳類マンモスについてご紹介しました。クローン研究は現在でも賛否両論がありますが、生きている古生物を見てみたいという意見が多数派なのではないでしょうか。