映画ジュラシックパークに登場した狡猾な狩人ヴェロキラプトル。このヴェロキラプトルには一昔前とは全く違う真実の姿がありました。
今回はヴェロキラプトルの生態や最新の姿、飛行能力などについてご紹介します。
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目次
ヴェロキラプトル
①ヴェロキラプトルとは?
ヴェロキラプトルは今から約8300万~7000万年前の白亜紀の地球に生息していた小型の肉食恐竜です。細身の体つきに鋭い鉤爪を持っているのが特徴で、映画ジュラシックパークに登場したことにより世界中で知られるようになりました。大型の肉食恐竜ティラノサウルスなどと同じ獣脚類に分類されており、中国やモンゴル、ロシアなどで化石が見つかっています。
画像:deskridge
②ヴェロキラプトルの名前の由来は?
ヴェロキラプトルの名前には「素早い略奪者」という意味があります。ヴェロキが素早いことを表し、ラプトルは強盗に由来します。ヴェロキラプトルは小型の素早いハンターという印象からこの名前が付けられました。
画像:PaleoGuy
③ヴェロキラプトルの大きさは?
ヴェロキラプトルの全長は見つかった化石から推測されるところによると最大で2メートル以上あったと考えられています。しかし、腰の高さは50センチメートルほどしかなく全長は尻尾の長さを含めるため、実際の見た目はそれよりもずっと小柄に見えました。
画像:deskridge
頭が体に比べて異様に大きく25センチメートル近くもあり小柄でスリムな体型をしていましたが、後肢には大きく鋭い鉤爪を備えていました。ヴェロキラプトルは現生するコヨーテなどの小型肉食獣に例えられることが多く、素早い動きを活かして獲物を仕留める優秀なハンターだったと考えられています。
④ヴェロキラプトルの体重は?
推定されるヴェロキラプトルの体重は最大でも15キログラムほどだったといわれており、体長2メートルを超える生物としては非常に細身の体型だったことがわかります。
画像:EWilloughby
映画ジュラシックパークに登場したヴェロキラプトルは小型のティラノサウルスのように迫力がありましたが、実際は映画ほどの脅威ではなかったのかも知れません。しかし、ヴェロキラプトルの恐ろしいところは優れた身体能力と鋭い鉤爪を持っている点です。
⑤ヴェロキラプトルの走る速度は?
ヴェロキラプトルは小柄な体に似合わない優秀な身体能力を備えており、その走る速度は時速60キロメートルを超えていたと考えられています。これだけの走力があれば獲物に気付かれた後でも十分に追いついて仕留めることができたはずです。
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ちなみに現生の肉食獣で同程度の走力を持つ生物にはヒョウやライオンが存在します。
⑥ヴェロキラプトルの鉤爪の能力は?
ヴェロキラプトルの鉤爪は切り裂くことよりも突き刺すことに特化した形状をしていました。高速で獲物に接近したヴェロキラプトルはこの鉤爪を獲物の喉や急所に突き刺し、その息の根を止めていたのです。
画像:Plioart
非常に珍しいケースではありますが、ヴェロキラプトルには実際に鉤爪を使用している様子がわかる化石も発見されています。それはプロトケラトプスとの戦いの最中に化石化したもので、ヴェロキラプトルが鉤爪を獲物の頭部に突き刺している様子が確認できました。なぜこのような化石ができたのかは謎とされていますが、狩りの最中に生きたまま砂嵐などで生き埋めになってしまったのではないかといわれています。
⑦ヴェロキラプトルの知能は本当に高かったのか?
研究の結果ヴェロキラプトルはとても大きな脳を持つ非常に知能の高い恐竜だったことがわかっています。そのため恐竜の中では視力が発達しており、群れで狩りをしていたと考えられています。映画ジュラシックパークでもヴェロキラプトルは仲間と連携を取りながら人間たちを追い詰めていきました。
画像:Apsaravis
しかし、実は映画で描かれているヴェロキラプトルのモデルはデイノニクスと呼ばれる他の恐竜でした。監督のスティーヴン・スピルバーグ氏はヴェロキラプトルの名前を気に入り、名前だけを使用して実際にはデイノニクスを描いていたのです。デイノニクスは最大で体長が4メートルにもなる大型のヴェロキラプトルのような恐竜で、大きな脳を持ち仲間と狩りをしていました。そのことから近縁種のヴェロキラプトルも同じように行動していた可能性が高いとされています。
⑧ヴェロキラプトルは羽毛恐竜だった?
ヴェロキラプトルの化石からは羽毛の痕跡が見つかっていることから、全身を羽毛に包まれた羽毛恐竜だったという見方が現在では一般的になりました。このことからヴェロキラプトルの前肢には鳥類のような翼が生えていた可能性が高いとされています。
画像:dustdevil
それが事実であれば、ヴェロキラプトルはまるで歯の生えた七面鳥のような姿だったということになります。ヴェロキラプトルはこの翼で空を飛ぶことができたのでしょうか?
⑨ヴェロキラプトルは空を飛べたのか?
現在ではヴェロキラプトルが空を飛ぶことはなかったとされています。ヴェロキラプトルの前肢は空を飛ぶにはあまりに短過ぎたからです。この翼は卵を温めたり、威嚇、もしくは求愛行動に用いたのではないかと考えられています。
これらの事実は進化過程での翼の発生が必ずしも飛行目的ではなかったことを示していました。しかし、ヴェロキラプトルが現在の鳥類に非常に近い生物であったことは間違いないようです。
いかがでしたか?映画で有名になった狡猾な狩人ヴェロキラプトルについてご紹介しました。映画とは違っていても群れで獲物に襲いかかるヴェロキラプトルは当時の生物たちには相当な脅威になったことでしょう。