狩猟と純潔を司ると語られる「女神アルテミス」。出産の守護神としても知られる彼女にはキレると恐ろしい意外な一面が隠されていました。
今回はアルテミスの能力と意外な性格、星座との関わりなどをご紹介します。
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目次
アルテミス
①アルテミスとは
アルテミスはギリシア神話に登場する狩猟と純潔を司る女神です。オリュンポス十二神のひとりに数えられており、「戦略の女神アテナ」や「炉の女神ヘスティア」と並んで「三大処女女神」と呼ばれています。アルテミスはギリシアの先住民族が信仰していた神を古代ギリシア人が神話に組み込んだのが始まりといわれています。
画像:Leochares
狩猟の他にも出産を見守る守護神としての一面も持ち、大地や子どもを守る女神としても語られています。双子とされる「光明の神アポロン」が太陽神とされることがあり、それに対してアルテミスは「月の女神」とされることもあるようです。
②アルテミスの能力
アルテミスは銀色に輝く「アルテミスの矢」を武器としており、双子の弟(一説には兄)のアポロンと同じく弓に「疫病」をのせて人々を大量死させることができました。また、銀色の鎖を用いることにより海においては波を自由自在に操ることもできたといわれています。
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アルテミスは他の神と同じように人間に罰を与える際には対象を牛などの動物に変えてしまうこともできました。また、難産に苦しむ母親に安らかな死をもたらす「死神」の力も持っており、死の象徴とされることもあったようです。
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アルテミスは生贄を必要としているという解釈されることもあり、古代ギリシアでは人や牛などが生贄に捧げられていました。
③アルテミスの性格
アルテミスは非常に気が強く男勝りな女神だったといわれています。異母姉妹である処女神アテナに憧れを持っていたことから自身も処女の誓いを立てる男嫌いな女神としても知られていました。そのため、潔癖すぎるところもあったようです。人間に罰を与える際には矢によって悪疫を蔓延させ大量死させるという冷酷さも持っていました。
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しかし、自身を産むために苦労した母親を大切にしており、弟のアポロンの悪ふざけが過ぎたときには姉として戒めるなど面倒見の良い一面もみせています。普段は気が強いアルテミスですが、自身が力を貸していたトロイアが滅んでしまった際には父親である「全知全能の神ゼウス」に泣きついており、気丈な振る舞いの中にも弱々しさを秘めていることもわかります。アルテミスは気が強くしっかり者のお姉さんですが、ときには父親に甘えるかわいらしさもあったようですね。
④アルテミスの家族
アルテミスはゼウスと女神レトの子どもです。レトはゼウスの愛人としてアルテミスとアポロンの双子を身籠りましたが、ゼウスの妻「最高位の女神ヘラ」から酷い冷遇を受けることになりました。レトより高位の女神だったヘラは「太陽の照らしたことのない暗い場所でしか出産してはならない」と命令し、さらには怪物にレトを襲わせます。レトは追ってくる怪物から逃れながら出産できる場所を探して世界をさまよい続けたのです。
何とかオルテュギアー島までたどり着いたレトはそこで双子のひとりであるアルテミスを出産します。産まれたばかりのアルテミスは身重な母親の手を引きながらデーロス島に向かい、そこで弟となるアポロンの出産を助産師として助けたといわれています。この逸話からアルテミスは出産や妊婦を助ける女神であるとされるようになったのです。
⑤アルテミスと精霊カリスト
カリストは下級精霊であるニンフのひとりで、女神アルテミスに純潔の誓いを立てた従者でした。しかし、そんなカリストにアルテミスの父である天空神ゼウスが恋をしてしまいます。処女を守るため男性への警戒心が高かったカリストを油断させるため、ゼウスは女神の姿に変身して彼女に近づきました。そして、カリストはゼウスの子ども「アルカス」を妊娠してしまったのです。
これに激怒したアルテミスは、従者であるカリストを熊の姿に変えてしまいます。不幸はそれだけには留まらず、熊にされたカリストは実の息子であるアルカスに殺されてしまいました。これを不憫に思ったゼウスはカリストを天空に迎え入れ、「おおぐま座」を創り出しました。また、母親を殺した息子のアルカスも「こぐま座」として母熊の側で輝く星になりました。
⑥アルテミスとアポロンの孫アクタイオン
アクタイオンはアポロンの子「アリスタイオス」とテバイ王の娘「アウトノエ」の子どもです。優秀な狩人だったアクタイオンはいつものように50頭の猟犬を連れてキタイロン山に狩りに来ていました。しかし、泉で水浴びしていたアルテミスの裸を偶然に目撃してしまいます。
画像:Ovid and the Censored Voice
純潔を汚されたアルテミスは激怒し、弟の孫であるアクタイオンを鹿の姿に変えてしまいます。さらには愛犬たちに彼を襲わせ、アクタイオンは八つ裂きにされて死んでしまいました。偶然の目撃とはいえアルテミスにとっては自身の裸を見た者は死刑に値するのです。
⑦アルテミスとポセイドンの息子オリオン
海神ポセイドンの息子「オリオン」は強靭な腕力と海上を走ることができる能力を持つギリシア一優秀な狩人でした。狩猟を司るアルテミスは次第にオリオンとの仲が深まり、それは周りの神々も認めるところとなったのです。しかし、それを快く思わない神も存在しました。アルテミスの弟であるアポロンです。アポロンは乱暴な性格のオリオンを嫌い、彼が原因で姉の処女の誓いが破られることを危惧したのです。
アポロンはオリオンを海上に立たせ、アルテミスにそれを射るように挑発します。弓の腕を疑われたアルテミスはこの挑発にのり、遠く離れたオリオンの頭を彼とは知らずに打ち抜きました。自身の手でオリオンを殺めてしまったアルテミスは死者を蘇らせることができたギリシア神話の登場人物「アスクレピオス」に助けを求めます。しかし、死の秩序が乱れることを恐れた「冥府の神ハデス」の訴えにより、その願いが敵うことはありませんでした。ゼウスはオリオンを生き返らせる代わりに彼を宇宙に輝く「オリオン座」に変え、傷ついた娘への慰めにしたのでした。
出典:wikipedia
画像:Michael C Hayes
いかがでしたか?狩猟の女神アルテミスの怖すぎる逸話をご紹介しました。神様は皆キレると恐ろしいですね。